轟洋介 ページ19
『雨だっるー……』
放課後、放送室に来れば窓の外を眺める定時のAがいた
Aの言葉通り、今朝の天気予報は当たり、先ほどから降り始めた雨はだんだんと強さを増していき窓に雫を付ける
「なんでいんの」
『あ、おかえり。轟と遊ぼうかなぁと思ってたんだけど』
「いや俺もう帰るし、アンタもこれから授業だろ」
『んー、そうなんだけどさぁ、雨降って来たから帰ろうかなぁって思って。轟傘持ってる？』
「持ってるけど」
『じゃあやっぱ帰ろうかなぁ。昼間は降ってなかったから持って来なかったし』
「何時から来てんだよ」
定時制はこれから授業で昼に早く来る意味なんてないのに
それに
「俺の傘に入ってく気か？」
『うん』
さも当たり前のように言ったAは、帰ることが決まったのか歩き始めた
「いいのかよ授業」
『うん。雨降ってるし轟と帰りたいし』
「傘に入りてぇだけだろ」
『轟と帰りたいんだよ』
全く、人の気も知らないでそんなセリフ吐きながら柔らかく笑う
村山がいなくて寂しいのか――？
なんて言葉を口にはできなくて
村山が鬼邪高を辞めた日、仲の良かったAも当然辞めると思っていたがここに残った
寂しいねと一言言っただけ
『そういえば今日辻と芝は？』
「それぞれ用があるらしい」
『そっか』
玄関に来ると傘を取りに行った俺と、ドアのところで空を見上げていたA
そんな彼女の隣に立って傘を広げれば、真っ黒いそれにAの唇が弧を描いた
『轟の傘大きい！』
「そうだな」
歩き出した俺に後れを取らないように一緒になって歩き出すAに歩幅を合わせて
雨音が傘に響くと少しだけ寄った距離
『ねぇ轟。やっぱ雨ってだるいね』
「そうだな」
『でも、轟と一緒に傘に入れるのは嬉しいね』
チラリと顔を見れば、また嬉しそうに柔らかく笑っているから
「そうだな」
それだけを返した
----------
昨日の雨で書きたくなったやつです。
轟くんはザワの時に書き始めた長編があるのですが、途中であきらめてしまい今に至ります
今後続きが書けそうだったらＵＰしたいなと思います
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 122人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
成田(プロフ) - evifryさん» こんばんは。コメント嬉し過ぎてニヤニヤが止まりません。ありがとうございます！ビンゾーくん長編も読んでくださっているんですね！嬉しいです！轟くんの長編、そんな嬉しい事言ってくださるなんて…！少し落ち着いたら頑張って続きを考えてみようかなと思います！！ (2022年12月12日 23時) (
レス) id: 4c44710d84 (このIDを非表示/違反報告)
evifry(プロフ) - コメント失礼します…成田さんの愛されがとっても好きで、ビンゾーくんの長編も更新すごく楽しみにしている者です。轟洋介の長編、是非機会がありましたら公開していただければと思います…！何卒…！何卒よろしくお願いいたします…！！！ (2022年12月12日 18時) (レス) @page19 id: 5d6115b8aa (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
