HiGH&LOW 短編集（ハイロー）

今日みたいな寒い日は（鳳仙） ページ15

『え、寒い』



鳳仙の柔道室に来れば全開の窓から冷たい風がこの部屋を冷やしていた



「空気の入れ替えです」
『入れ替えって言ったってこれは寒すぎるでしょ！外じゃん！もう！』



ドア付近にいたサバカンに文句を言ってやっぱり今日は教室にいようかと思えば



「A、お前も運動するか？体あったまるぞ」



先ほどまで組合いをしていたのか若干息が切れている佐智雄



『運動する気にもなれない寒さだよ』
「ったく、Aは根性ねぇな。ほら上着貸してやっから」
『え、いい。そんな制服一枚で凌げる寒さじゃない』
「おまっ」
「なら教室行くか？」
『うん、そうする』



立ち上がった沢村の優しさにやっぱりそれが一番だ

今日は教室でぬくぬくと過ごそう



「あー、あっちぃ」



するとそんな声と共にドアから入って来た仁川

え、今なんて言ったの？私の聞き間違い？



「あ？どうしたA。そんなとこに突っ立って」



そう言って私を通り過ぎた仁川から温もりが伝わって来て



『え、なに、あったかい』



自然と足が動いた私は仁川を追いかける



「あ？なんだ？」
『あったかい仁川。仁川あったかい』



座る仁川の足の間にしゃがんで



『人間暖房仁川』
「オイ、近けぇよ！A」



今日はもうここにいようと決めた






――仁川で暖をとる――




「さっみぃ…！！ちょっと今日寒くねぇ？って、およよ？何やってんのA」
「知らね」
「仁川で暖をとってるそうだ」
「何それ、じゃあ俺もーじんかわぁー」

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