第二章 1 インターハイ ページ7
『すいませんでした!!』
静かな体育館の中に私の声だけが響いた――…
インターハイが始まって初日の朝、私はベッドから起き上がることができなかった
重い体にぼーっとする頭、しまいには熱があるって自分でもわかるくらい体が熱く
中々自分の部屋から出てこない私を見かねた母親が様子を見に来て、すぐに病院へ駆け込んだ
診断結果はインフルエンザ
最悪だ
大事なインターハイ初日で体調を崩すなんて、ありえない。マネージャー失格だ。今まで何をやってきたんだ
自分を責める言葉しか出てこなくて
今すぐにでも駆けつけたいのに、それができなくて
布団に包まる私の耳に母親の休みますとう声が小さく聞こえた
ぼーっとする頭でただただ天井を見上げながら日が暮れるまで過ごして
夕方、黒尾先輩から心配する言葉とこっちは大丈夫だからと安心する言葉、そして初日の結果を報告するメールを貰った
一回戦突破
嬉しくて、けれどもその場にいられなかった自分が悔しくて顔を手で覆った
そして――…
音駒高校はインターハイ二日目、優勝候補である強豪校と当たってベスト8という結果を残して負けた……
「もう風邪は大丈夫なのか?」
『っ……はい』
監督の声色がなんだか優しくて、滲んできた視界に唇をきつく結ぶ
「ほら、もう顔を上げなさい」
『でもっ……』
「今回一緒に試合には行けなかったが、君がそれまでしてくれたサポートが無駄になったわけじゃない。それがあったからこそ選手たちはより頑張れたんだから」
『っ……』
「結果は、まぁベスト8だったが、その結果を経てそれぞれ課題もできたしまた練習に励める。そして君はそれをまたサポートしてくれればいいんだ。だから――」
『でもっ!でも三年生はインターハイが最後じゃないですか!!』
泣いちゃいけないってどんなに強く思っても、顔を上げた瞬間ボロリと零れ落ちてしまった涙
『大事な試合なのにっ!!風邪ひいてとかっ……!私はっマネージャー失格です!!』
出てしまえば、もう止めることなんてできなくて
仰ぎながらボロボロと一気に流れ出す涙を一生懸命手で拭うことしかできなかった
→
289人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
成田(プロフ) - ゆんさん» わー!嬉しいコメントありがとうございます!!この後もどんどん潔子さんと絡んでいきますので楽しみにしてくださると嬉しいです(*^^*) (2022年8月18日 10時) (レス) id: 4c44710d84 (このIDを非表示/違反報告)
ゆん(プロフ) - すごい読みやすくて好きです(*´∇`)夢主と潔子さんの絡みがすごく好きです♥️ (2022年8月18日 1時) (レス) id: d0dd043faf (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ