君を振り向かせるのは２【HQ】

5　夏合宿　森然高校 ページ35

「Aって黒尾先輩と付き合ってるの？」



この間夕夏に言われた一言がふと頭を過った


それは約二週間前のこと、部活の連絡で私のクラスに来たクロ先輩と話した後再びお昼ご飯を食べようと席に着くと真面目な顔をした夕夏がそう一言言ったのだ



『え、付き合ってないけど』
「本当にぃ？なんか仲良さそうだったけど」
『そう？普通じゃない？』
「ふーん」



そう言うとなんだか腑に落ちない様子でパンを齧った夕夏


どこをどう見たらそういう風に見えるのかわからないけれど、もし夕夏がそう見えてしまったのならクロ先輩のファンに本当に殺されるかもしれない



「黒尾先輩なにげにモテるからねぇ」
『え、やっぱりそうなんだ』
「うん、他はわからないけど、うちの学年結構いるよ？先輩のこと好きな子」
「そうなんだ……」



やっぱりちょっと気をつけないといけないかもしれない。変な誤解で恨まれても嫌だし…


でもマネージャーやっている限りどう距離を取ればいいものか…



「Aは好きじゃないの？先輩のこと」



好きじゃないというのは少し語弊があるように聞こえるけど、



『えっと、好きだけど、そういうあれではないかな』



夕夏や那智が思っているような展開は起きない



「そうなんだ。かっこいいのに黒尾先輩」
『え、夕夏もしかして……』
「かっこいいと思うけど好きなタイプではない」
『そうなんだ。夕夏は、その、好きな人とかいたりするの？』



ただなんとなく聞いただけだったけど、恥ずかしそうに頬を染めた夕夏はまさに恋する女の子で



「男子テニス部の主将！もう、超かっこいいの！」
『へぇ、知らないや私』
「今度見てみて！」



そういえばそんな気持ち忘れてたな、なんて思った




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