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潔子さんと出会ったのは、高校一年の夏だった


特にやりたいこともなかった私は部活にも入っていなくて


その日も日直の仕事が終わったら帰るだけだった


けれども、同じ日直の西谷が気付いたら教室にいなくて、黒板の掃除も机の拭き掃除も一人でやった私は日誌を途中まで書いて怒りが爆発した


なんで自分が一人でここまでやらないといけないのかと


最近何故か部活に行くのが楽しみだと言っていた西谷のいる場所なんてわかりきってて


日誌片手に投げつけてやろうと体育館を目指した


体育館ではバレー部が部活をしていて、その中にもちろん西谷もいて



『失礼します』



と体育館に入った瞬間



「危ないっ!」



大きな声と共に一瞬だけ見えたボール


けれどそれを止める術なんて持っていなくて


衝撃に備えてぎゅっと思いっきり目を瞑った



『っ……』
「大丈夫?」



なんの衝撃も来ないまま聞こえてきた声にゆっくりと目を開ければ


とても綺麗な人が目の前にいて



『だ、だい、じょぶ、です…』



この人が助けてくれたんだって思った


ジャージのライン色…先輩だ



「だいじょ―…ってAじゃん」
「西谷くん知り合い?」
「同じクラスの奴っス!つか、なんでお前こんなところにいんの?」



ハッと気が付けば首を傾げている西谷が目の前にいて



『ちょっと!日直!!私一人にやらせないでよ!』



西谷に日誌を押し付けた



「え、俺今日日直だっけ?」
『そうだよ!私もう帰るからそれ、空白のところ書いて先生に出しておいてよね』
「ちょ、俺今から部活あんだけど!」
『知らない!じゃあね!』



そう言って背中を見せて歩き出そうとすれば


そこには固い感触がなくて、丸い、不安定な何かに乗せてしまった足


当然のことながらバランスを崩すわけで、思いっきり転んだ私は体育館に顔面を強打した





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作者名:成田 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2022年7月11日 9時

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