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黒尾side
Aさんを初めて見たのは、研磨が彼女を体育館連れてきた時だった
スラッとした体に白い肌、サラサラの長い髪に体育館を見渡す瞳は大きくて―……
一瞬にして心を奪われた俺は動くことができなかった
そしてそれと同時に一目惚れとはこういうことなんだなと初めて知った
元々彼女の存在は研磨から聞いていて知ってはいた
なんでも研磨のクラス、しかも隣の席に転校生が来たということ。そしてその子が可愛いということ
話を聞いて確かに気にはなったが、わざわざ三年が二年の教室に見に行くなんてことはない
まぁ見に行ったやつもいるみたいだけど
そんな彼女がまさか男子バレー部のマネージャー希望として部活見学に来ると思わなかった
当然、みんなも驚いたようでバレー部員全員が完全に恥をさらしたなとは思っている
けれど、彼女の登場はそれほど衝撃的だったんだ
それから前々からマネージャーが欲しいこともあって、みんな必死に入部してもらいたいオーラを放っていたのは間違いない
リエーフは直球過ぎたけど
でも、彼女の中でどうだったのかはわからないがすぐに良い結果はもらえなかった
それでも最後片づけを手伝ってくれた彼女はきっといい子なんだと思った
帰りは危ないからと理由を付けて、って本当に危ないからというのもあって三人で一緒に帰ることに成功して
今思えば、Aさんにバレー部に入ってもらいたくて色々言った言葉は必死過ぎた気がする
でも、そのおかげかAさんのことを少し知ることができたのはよかった
おまけに嫌なことも知ることになっちまったけど……
前の学校で、彼女が憧れの人を追ってバレー部マネージャーになったと知った時はかなり動揺した
それと同時に失恋確定
もしかしたらまだそいつのことを好きかもしれないという可能性が高いからだ
けれど俺は彼女をバレー部に引き留めたくて――
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