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『この間は・・・助けてくれてありがとう』
「いや・・・」
『伊藤くんが来てくれなかったら私、どうなってたか・・・本当にありがとう』
「ううん。無事でよかった・・・」


チラリと彼を見れば薄っすらと笑ってくれた口元

彼は今、どんな思いだろうか


『伊藤くん』
「ん?」
『ごめんなさい』


やっと言えた、この言葉

ずっと彼を傷つけてしまっていたと、その言葉を口に出せば何故かじわりと視界が滲んだ


「なんで、Aちゃんが謝るの・・・?謝らないといけないのは俺の方だよ」


そう言って足を止めた伊藤くんに私も止めて、彼を見上げればとても悲しい顔をしていた


「本当にごめん。嘘ついてて、本当にごめん!!」


深く深く下げられた頭


『伊藤くん、顔あげて・・・』
「いや、俺が悪いんだ。Aちゃんに嘘なんて吐いていたから」
『でもそれは・・・私がツッパリが嫌いだって言ったから、だよね?だから言いづらくなっちゃったんだよね?』
「それでも!それでも嘘は嘘だ・・・本当にごめん!」
『伊藤くん・・・』


何も変わらない

彼がツッパリだったとしても、見た目が違くても、私が知っている真っすぐで誠実な彼


「本当は・・・あの日、夜会う約束をしていた日、ちゃんと本当のことを話そうと思ってたんだ。けど・・・自分から言う前にあんな形でAちゃんに知られて・・・」
『そう、だったんだ・・・』


彼はちゃんと言おうとしてくれていたんだ

例え、嘘を吐いてしまっていても真実を私に話そうとしてくれていた


『伊藤くん、顔、あげて』


そっと彼の肩に触れて、ゆっくりと顔を上げた伊藤くん

あぁ、私はまた彼にこんなにも悲しい顔をさせてしまっているんだと思うと胸が痛んだ


『もう、謝らないで。もういいから』
「ごめん」
『また謝ってる』
「ごめん、あ・・・」
『ふふ』
「はは・・・」
『ねぇ、伊藤くん』


彼のこの悲しい顔を笑顔にする方法なんて私にはわからないけれど


『またあのコンビニで、私と会ってくれませんか?』


彼が好きだから―・・・また前のように戻りたいと思ってそう言った



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成田(プロフ) - わらびもち子さん» わらびもち子さん!コメント、完結ありがとうございます!お話たまに読ませてもらっております! 相良くんの連載も読んでくださっているなんて嬉しいです!ありがとうございます!こちらもまたお話読みに行かせていただきます! (2018年12月16日 22時) (レス) id: 9a366f7078 (このIDを非表示/違反報告)
成田(プロフ) - あべまさん» コメントありがとうございます!そして最後まで読んでくださり、嬉しいお言葉ありがとうございます!キュンキュンしてくださったとは!嬉しすぎます・・・!!本当にありがとうございます! (2018年12月16日 22時) (レス) id: 9a366f7078 (このIDを非表示/違反報告)
わらびもち子(プロフ) - 完結おめでとうございます!伊藤君がヘタレでかっこよくて最高でした。相良君の連載も楽しみにしています! (2018年12月16日 19時) (レス) id: 8a68cf3e08 (このIDを非表示/違反報告)
あべま - すごくおもしろかったです!!青春ですねー!月がきれいのくだりきゅんきゅんしました。すてきな作品ありがとうございました! (2018年12月16日 14時) (レス) id: 8be06f6a50 (このIDを非表示/違反報告)
成田(プロフ) - 蓮己さん» コメントありがとうございます!あぁ、そんな、泣いてしまうなんて…ありがとうございます!!真っ直ぐで優しい伊藤くんは本当に素敵ですよね! (2018年12月13日 22時) (レス) id: 9a366f7078 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:成田 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2018年12月2日 1時

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