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19(六章) ページ22


鈍い音に飛び散った血

目の前で起こっている光景が怖くて、ただ怖くて、腰が抜けたようにその場に座り込んでしまった

学校帰りに寄ったアーケード通りでツッパリに絡まれてしまった私。最初は無視をしていたのだけれど、それが気に食わなかったのか裏路地に連れていかれてしまった

怖くて、嫌で、やめてくださいと言っても手を離してくれなくて

もうどうすることもできないのかと思っていれば彼が現れたんだ

真っ黒い長ランにツンツンとした頭のツッパリ

そして私に絡んできた男の一人が「軟高の伊藤」という名前を出したから、彼があの伊藤だということがわかった

そして、滲む私の瞳に映るその彼は、いつものコンビニで会うモサッとした髪の私の好きな人

伊藤くんだった―・・・


まさか、なんで?彼が軟高の伊藤なの?

信じられなくて、見間違いなんじゃないかって彼の顔を何度も見た


「はぁ、はぁ・・・」
「くそっ!覚えてろよ!」
「・・・」


けれど、男達が去った後私に振り向いた彼はやっぱりあの伊藤くんで

ポロリと落ちた涙に、なんで自分が泣いているのかわからなかった

怖かったから?

男に掴まれた腕が痛かったから?

それとも目の前の彼が伊藤くんだったから・・・?


「大丈夫・・・?」


彼の優しい声にポロリポロリと涙を流すことしかできなくて

私の目の前にしゃがんだ彼は一言「ごめん」と言った

きっとそれは嘘を吐いていて、ということだろうか

口の端から滲む血

あの時怪我してきたのはいじめられたとかじゃない。喧嘩だったんだ

そしてあの金髪の友達。全てが合致してしまう


「本当にごめん・・・でも、騙してたとかじゃなくて―・・・」
「A・・・?」


その時聞こえた友達の声に顔を上げれば彼女がそこにいて


「ごめん」


最後にそう言って伊藤くんは去って行った


「大丈夫!?A!」
『・・・う、うん・・・大丈夫、ありがとう・・・』

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成田(プロフ) - わらびもち子さん» わらびもち子さん!コメント、完結ありがとうございます!お話たまに読ませてもらっております! 相良くんの連載も読んでくださっているなんて嬉しいです!ありがとうございます!こちらもまたお話読みに行かせていただきます! (2018年12月16日 22時) (レス) id: 9a366f7078 (このIDを非表示/違反報告)
成田(プロフ) - あべまさん» コメントありがとうございます!そして最後まで読んでくださり、嬉しいお言葉ありがとうございます!キュンキュンしてくださったとは!嬉しすぎます・・・!!本当にありがとうございます! (2018年12月16日 22時) (レス) id: 9a366f7078 (このIDを非表示/違反報告)
わらびもち子(プロフ) - 完結おめでとうございます!伊藤君がヘタレでかっこよくて最高でした。相良君の連載も楽しみにしています! (2018年12月16日 19時) (レス) id: 8a68cf3e08 (このIDを非表示/違反報告)
あべま - すごくおもしろかったです!!青春ですねー!月がきれいのくだりきゅんきゅんしました。すてきな作品ありがとうございました! (2018年12月16日 14時) (レス) id: 8be06f6a50 (このIDを非表示/違反報告)
成田(プロフ) - 蓮己さん» コメントありがとうございます!あぁ、そんな、泣いてしまうなんて…ありがとうございます!!真っ直ぐで優しい伊藤くんは本当に素敵ですよね! (2018年12月13日 22時) (レス) id: 9a366f7078 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:成田 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2018年12月2日 1時

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