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ページ8

彼女は、僕のことを忘れてしまっただろうか

テーブルに花を並べる彼女の横顔を映して


『こんなにたくさんのチューリップを貰われる方はきっととても幸せですね』
「あのチューリップの花は、とても綺麗に咲きましたよ」


そう言えば止まった彼女の手

ゆっくりと視線が合って


『私のこと、覚えててくれたんですね』


泣きそうな瞳で笑う


「えぇ」
『そうですか……あのチューリップ…育ててくれたんですね。ありがとうございます……』
「キミがそう言ったんでしょう」
『はい…そう、でしたね、はい……』


嬉しそうに微笑みながら再び動き出した手


『生徒会長さんも元気そうでよかったです』
「もう生徒会長ではないですよ」
『あぁ、そうですよね……リボンは何色にいたしますか?』
「貴女の、Aさんの好きな色で」


そう言えばきゅっと唇を結んだ彼女

ピンク色のリボンを取って、綺麗な輪を描いたそれを結んで


『……ずるいですね…名前を覚えているだなんて……』
「ずるくなんてないですよ」


出来上がった大きなチューリップの花束を彼女から受け取った


『ありがとうございました。きっと喜ばれますよ』
「だといいのですが」


あの日綺麗に咲いた彼女のチューリップと同じように綺麗に咲くそれを見つめて


「Aさん」


もう一度彼女の名前を呼ぶ


「僕からキミにです」
『え……?』


驚く彼女にその花束を差し出して

ゆっくりと受け取った彼女


「あの日、見ることができなかったでしょう」
『でも――』
「それと――」


ずっと、ずっとキミのことを忘れることができなかったんだ

こんな感情を抱くのは初めてで


「僕の気持ちです」


そう言えば再び驚いた彼女は次に頬を染め嬉しそう笑った








----------
たまたまお店にあったピンクのチューリップが108本だったらいいなと思いました
108本=「結婚してください」
会長の告白には合っているなぁと思いました

そして最後のお話が一つに収まりませんでした…
ここまで読んでくださった皆様ありがとうございました!

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作者名:成田 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2020年4月24日 0時

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