妹が好きで何が悪い２【プリレジェ】

▽ ページ9

ハルさんの予約が途切れたのは閉店間際だった

本当にごめんと謝るハルさんに、首を横に振って

だって、座り心地のいいソファで飲み物は飲み放題、雑誌は読み放題、おまけに色んな人がお菓子を買ってきてくれて

逆にこんなに贅沢していいものかと悪くなってしまった

それに、ハルさんの仕事ぶりを初めて見られたし

予想通り女の人たちに口説き文句を言っていたけれど、それ以上にとても真面目に仕事をしていたことの方が印象的だった


ハルさんに案内されて鏡の前の椅子に座るとカウンセリングが始まって

髪を少し切るだけなのに、なんだか申し訳なくなってしまって

思い切ってバッサリ切ろうかなと呟いた時はやめときなよと笑われた


『なんか、すいません。少しで』
「いいのいいの。Aが来てくれたことが嬉しいから」


入れ終わった鋏に、髪に指を通せば切る前とは全然違う指通りに驚いて


『え、凄い』
「うん、サラサラでしょ」
『はい』
「元々髪質いいし、ついでにトリートメントもしてあげる」
『え、』
「大丈夫大丈夫金はとんねーから」
『いやそれは駄目です！』
「俺がしたいの。な？」


手を取られて、シャワー台に促されて

知り合いにシャンプーされるのってとても緊張するとぎゅっと瞑った目

けれどとても気持ちよくて、いつの間にか力の抜けていた瞳は襲ってきた睡魔と戦うのに必死だった

その後ドライヤーをして櫛で梳かして

サラサラのつやつやになった髪に驚く


「巻いてもいいけど、俺はこのまんまが好きかな」


私の髪に何度も指を通しながら言うハルさんにドギマギしながら、女の人が落ちるやつだこれと視線を逸らした


「どうする？」
『このままで大丈夫です』
「ん、了解。そんじゃあ帰るか！」


そう言うと私の荷物を取りに行ったハルさんは自分の上着も持っていて


「悪いけど後お願いな」


お店のスタッフさんに言うと私の手を取って店を出た

▽→←ep14 嵯峨沢ハル

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す