妹が好きで何が悪い２【プリレジェ】

ep15 京極竜 ページ12

竜side


「お前だってキスしたんだろ」


アイツがAにキスしたことは許せなかったけれど、アイツの言った言葉に間抜けな声が出た俺は去って行く奴に何も言い返せなかった

何言ってんだ、アイツ

俺とAがキスしただなんて何を勘違いしているのか

つーか、なんでそんな考えが浮かんだのかわからなくて、勝手な想像してんじゃねぇよと思ったけれど

一つだけ思い浮かんでしまった可能性



「なぁ、A。キスしたの？」
『え！？な、ちがっ、あれはお代の代わりとか言ってたけどそういうのじゃなくて――』
「違くて、兄貴と」



そう言えば何も言わなくなってしまったAに心臓が嫌な音を鳴らした

ふざけんなよ。マジかよ。何してんだよ

苛々と腹の底から湧き出る感情と


『ちが、違うの！あれは間違いなの！』
「何間違いって」


Aの言葉には確実性があって、自分が思っていた以上に出た低い声


『だからその、尊兄は間違えちゃったんだよ。する相手』
「んなわけねぇだろ」
『だって、だから、その、私にするなんておかしいじゃん』
「全然おかしくねぇよ」


立ち止まって振り返れば、俺が怖いのか泣きそうな顔をしていたA


「ごめん、キツく言い過ぎた」
『あ、いや、その……ううん。大丈夫』
「悪い。ホントそんな顔しないで」


俯く顔をそっとあげて頬を撫でる

確かに兄貴とAがキスをしたと聞いて腹が立ったけれど、それをこいつにぶつけるのは違う

Aは俺の女でもないし、それにきっと兄貴が一方的にしたんだろう


「なぁ、A」


親指でそっと唇に触れて


「俺もしていい？キス」


驚く彼女の瞳に、唇を奪おうとした――

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