▽ ページ33
「もうこんな時間か……」
奏さんの声に顔を上げればいつの間にか過ぎていた時間に驚いた
彼の教え方が上手なのか初めて弾いたピアノは楽しくて時間を忘れてしまう
「行きましょうか。送りますよ」
椅子から立ち上がる時も手を差し伸べてくれて、彼といると本当に自分の立場を勘違いしてしまいそうになる
『あ、いや、大丈夫です。一人で帰れるんで』
「もう暗くなるし、送らせてください」
『じゃあ、お言葉に甘えて……ありがとうございます』
そう言うとフッと笑った奏さんと共に教室を後にした
もうすっかり人のいない廊下を歩いて、そこはいつもと違う空間のように思える
「こんな遅くまですいません」
『いえ!とても楽しかったです!こちらこそありがとうございます』
「それはよかった。是非また一緒に」
『はい!是非』
玄関が見えてくると止まっていた白いリムジン
ドアが開いて下りてきたのは久遠さんと元で、前に元が言っていた側近という意味が少しだけわかったような気がした
「あぁ、そうだ」
『はい?』
「名前、Aって呼んでもいいですか?」
『え?あ、はい!全然大丈夫です』
「よかった。僕のことも奏と」
『い、いえ!滅相もないです。奏さんは奏さんです』
私なんかが朱雀さんの息子さんを呼び捨てするだなんて何かバチが当たりそうだとそう言えば、奏さんはフッと笑った
「遅いぞ奏」
「ごめんね、彼女とのピアノが楽しくて」
そう言うと久遠さんの瞳がチラリと私を見る
「送って行くんだろ?」
「あぁ。A、どうぞ」
『あ、ありがとうございます』
当たり前のように差し出された手に手を重ねて車の中に乗り込めば人生二度目のリムジンだ
ドアが閉まってゆっくりと車が発車して、すっかりと暗くなった空を見ていた
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成田(プロフ) - 綾瀬さん» 嬉しいお言葉ありがとうございます!これからも頑張りますので、また読みに来てくださると嬉しいです☆ (2020年1月3日 20時) (レス) id: 9a366f7078 (このIDを非表示/違反報告)
綾瀬 - 毎回とても楽しみです。頑張ってください (2020年1月3日 19時) (レス) id: 006049a680 (このIDを非表示/違反報告)
成田(プロフ) - 滴さん» こんばんは。ご指摘ありがとうございます!「ら」が抜けていましたね!直しました! (2019年10月19日 22時) (レス) id: d5fb161253 (このIDを非表示/違反報告)
滴 - こんにちは(*^^*) かなりお久しぶりです(笑) 物語読んでいて気が付いたのですが...。 ep.4 Team奏▽ページ20のここの部分 何これ、私もはけた方がいいのだろうかと頭の隅でそんなことを考えなが応えれば これ正しくは考えながらではないんでしょうか? (2019年10月17日 12時) (レス) id: fa78cdaff1 (このIDを非表示/違反報告)
成田(プロフ) - 滴さん» こんばんは。コメントありがとうございます、読んでいただきありがとうございます!本日更新致しましたので、また読んでくださると嬉しいです★ (2019年6月2日 22時) (レス) id: 9a366f7078 (このIDを非表示/違反報告)
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