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『ものすごく可愛い私よりも、別の人の女を好きになる大貴くんが許せません。』

「うん」






相変わらず彼はまっすぐ前を見たまま。
私の方なんて見もせずに、どこか遠くを見つめていた。
左耳のピアスの石がキラリと光る。








『普通の男の人は私のことをすぐ好きになるのに、なんでか大貴くんだけは全然なびかないですし。それが気に食わない。」

「うん」





適当な返事ばかりして、
この人ちゃんと話聞いているのかなって。
どうしたらこっちを向くかなって。






少しイライラして。
なんかむず痒くて。






思ったの。
こっちを向かせたいって。








『だから、私のこと好きにさせます。』

「え?」






間の抜けた声を漏らした彼に、今度は私がまっすぐ前をみて真面目な顔をする。





しばらく彼は口を開かない。
私も黙ったままただ手を繋いで歩いた。



長い沈黙が流れた気がした。
















「うん、させてよ。」



依然目は合わないまま。
少しだけ強く握られた手のひらに、答えるように私も力を込めた。









「Aちゃんを好きになれたらさ、きっと楽しいよね。」

『そうですよ。真奈を好きになるよりはよっぽど。』

「…わかってんの、あいつは結婚してなかったとしても俺のことは好きにならないって。」









彼がどうしてそこまでいうのか、分からなかった。





結婚してるから、望みはないとかなら理解ができたのに。
結婚してなくてもってどういう意味…?







このまま聞いていたら、何か知れるんじゃないかなって。
浮かんだ疑問に口を噤んで、彼の言葉を待った。






「けど、助けられるなら力になりたい。あいつは今…」







その時、着信音が鳴り出した。









繋いでいた手を反射的に離す。
バイブレーションの音に、パーカーのポケットからスマホを取り出す彼。







『出て大丈夫ですよ。』

「ごめんね。」




電話に応える彼に、なんだか胸騒ぎがした。

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himawari(プロフ) - 有岡担さん» 1年越しのレス失礼致します。ありがとうございます!とても嬉しいです!まだHey! Say! JUMP好きですか?良かったらまた見てくださいね! (2021年11月2日 23時) (レス) id: bbb7ea1a79 (このIDを非表示/違反報告)
有岡担 - はじめまして!あの、このお話を見たときにもう最高かと思いました!続きも待ってます。 (2020年7月31日 16時) (レス) id: a06e75bb6c (このIDを非表示/違反報告)
himawari(プロフ) - マリナさん» マリナさん、コメントありがとうございます!頑張ってかきたいと思います! (2019年1月31日 19時) (レス) id: 9a53dee1e8 (このIDを非表示/違反報告)
マリナ(プロフ) - 初めまして!一気に世界観にハマってしまって主人公ちゃんの幸せの続きが気になりました!更新待ってます! (2019年1月30日 4時) (レス) id: bbedea094b (このIDを非表示/違反報告)
himawari(プロフ) - maimaiさん» ありがとうございます!普段は読まないのに、読んで下さってるっていうのは本当に嬉しいです!!つい更新してしまいました...! (2019年1月21日 8時) (レス) id: 9a53dee1e8 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:himawari | 作成日時:2018年8月25日 21時

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