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『…いのお、けい。』

「なんでフルネームなのよ。久しぶり、A。」



久しぶりってほどじゃないっての。
肩を震わせて笑う彼。
私の記憶では、彼と最後に会ったのは1週間前のはずだ。




『あんた、よく振った女に普通に話しかけられるわね。』

「Aももう新しい男連れてんじゃん。俺にどうこう言える立場じゃないと思うけどな〜」


悔しいけど、押し黙ることしか出来ない。

そもそも、なんでこんな修羅場みたいな状況になってるのよ。


もともとは真奈と二人で呑むつもりでここに来たのに。
騙されたのは私もだって言うのに。

焦る私に気づくはずもなく、隣に座る有岡くんはこんこんと眠り続けていた。



「それにさ〜そいつ、見覚えあるんだけど。」


甘ったるい口調にはどこか棘があり、軽蔑が混じっている。
カウンター席に座る私を、彼は見下ろしたまま続けた。


「遊ぶのは勝手だけど、うちの子に手だすのやめてくれない?俺と違って、良い奴なんだから。」

有岡くんをちらりと見やってから、珍しく感情的になって彼は言った。



あ、そっか。
彼らが知り合いであるという事実を失念してた。

『ちがう。彼とは…ただの知り合いだから。』

「ふーん。」

何か考え込むように宙を見上げたあと、急に彼は吹き出した。

『何で笑らってんのよ。』

「いや、大体今の状況が読めたなって。」

『どうゆうこと?』

「A、大ちゃんに相手にされなくて沼にはまっちゃったんでしょ。」


沼。沼ってなんだ。
何の沼だ。
恋の沼か?冗談じゃない。

冷静になって考えてみれば、恋なんてしたってめんどくさいだけだ。


『私、もう帰るわ。彼のことは頼みます、さようなら。』

彼に背を向けて立ち上がった瞬間。
掴まれた左手を振り払いながら、慧くんのほうを振り返る。

ったく、離してよ。
睨み付けると、彼はふにゃっと笑って私に視線を合わすように屈んできた。





「有岡沼は深いよぉ。俺が協力してあげましょうか?綺麗なお姉さん。」

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himawari(プロフ) - 有岡担さん» 1年越しのレス失礼致します。ありがとうございます!とても嬉しいです!まだHey! Say! JUMP好きですか?良かったらまた見てくださいね! (2021年11月2日 23時) (レス) id: bbb7ea1a79 (このIDを非表示/違反報告)
有岡担 - はじめまして!あの、このお話を見たときにもう最高かと思いました!続きも待ってます。 (2020年7月31日 16時) (レス) id: a06e75bb6c (このIDを非表示/違反報告)
himawari(プロフ) - マリナさん» マリナさん、コメントありがとうございます!頑張ってかきたいと思います! (2019年1月31日 19時) (レス) id: 9a53dee1e8 (このIDを非表示/違反報告)
マリナ(プロフ) - 初めまして!一気に世界観にハマってしまって主人公ちゃんの幸せの続きが気になりました!更新待ってます! (2019年1月30日 4時) (レス) id: bbedea094b (このIDを非表示/違反報告)
himawari(プロフ) - maimaiさん» ありがとうございます!普段は読まないのに、読んで下さってるっていうのは本当に嬉しいです!!つい更新してしまいました...! (2019年1月21日 8時) (レス) id: 9a53dee1e8 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:himawari | 作成日時:2018年8月25日 21時

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