ニックス・ニウェウス：オリジン ページ1
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彼は、とても冷たい人だ。
幼い頃に彼の両親は彼の手によって死んでしまった。
人ならざる者、と形容された彼は人々から迫害を受け、
一人、町を飛び出して雪深い山の中へ逃げた。
けれど町の人間はとても傲慢で彼を追い出すだけでは飽き足らず、
彼の存在を亡きものにしようと考え武器を手にした。
町の人間は彼を探しに山の中に足を踏み入れたが、
町へは誰一人として帰ってこなかった。
町の人間は自分を殺そうとしている。
そう悟った彼は、決意した。
彼が決意したとき、町の人間たちはすっかり彼のことなど忘れていた。
時が流れた彼の故郷には暖かい春が訪れ、一層の賑わいをみせた。
そんな町に彼は再び冬を齎した。
青い空は鉛色の曇天に変わり雪が降り始めた。
彼が歩いた道には霜が降り、触れるものは全て凍った。
誰かが言った。
【You're Nix・Niveus...?】
誰かの言葉に反応した彼はゆっくりと振り向いた。
白い髪から覗く町の人間たちを見つめる青い瞳は酷く鋭く冷たい。
薄い唇を開き、彼は言った。
【...Thanks for remembering.】
彼の足下から巨大な氷の柱が現れ、次々に町の人間たちをのみ込む。
町の人間たちは成す術もなく氷の中で一生を終える。
There is only one way to die more beautifully and brilliantly when you are alive.
There is only that way of death.
That clear, cold and cold death.
彼が町にもたらした冬は未だ明けない。
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作者名：夢見めめ子 | 作成日時：2019年9月7日 19時
