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ドラコはカーテンの隙間から溢れる朝日で目を覚ました。
覚醒しきっていない頭で、何があったかを思い返していた。
そうだ、ポッターに呪文をかけようとして、先にーーー
そういえば、運んでくれたのは真緒のような気がするが…彼女の痕跡はない。
手を繋いでいた気がしたのにーー…
絹のような寝間着姿の彼女が涙を流していたのは、会いたい気持ちが生み出した夢なのかーーー
《貴方隈が酷い…もう少し眠って》
瞼に置かれた温かい手は、彼女だと思ったのに。
ドラコがぼんやりと明るい窓の外を見ていると、カーテンが静かに開けられた。
真緒「あら、起きたのね」
「っ真緒?」
声に対して反応したドラコが、振り返りながら声を上げると、正しく彼女だった。
彼女はこちらが驚くほど自然に、ドラコに近づいて細い指で下瞼をなぞる。
真緒「少し、ましになったみたい」
そう言って微笑む彼女は酷く綺麗だ。
マダムから渡されたらしいゴブレットを飲むように、真緒はドラコに差し出した。
受け取る為に身を乗り出すと、胸部に鈍い痛みが走り、ドラコの眉間に皺が寄る。
真緒は目敏くそれに気付いたようで、ドラコの身体を制した。
再び布団に凭れかかったドラコの口元に、ゴブレットを近づけた。
真緒「これを飲みきったら、朝ごはんだからね」
彼女の言葉に頷いて、大人しく飲まされる。
信じられないくらい穏やかな朝だ。
かなり不味いゴブレットを何とか飲み終えると、タイミングよく水を口元に持ってきてくれた。
真緒「カボチャスープとサンドイッチを用意したんだけどーー…やっぱりまだしんどいかしら…何か食べたいものはある?」
彼女は後ろのバスケットに視線をやって、ドラコを気遣わしげに見た。
「…そこにあるのは君が、作ったのかい?」
真緒「え、まぁ…マダムから軽食を食べさせるように言われて…でも、何か食べたいものがあったら厨房で頼んでくるわ、何が良い?」
「いやーー…君のにする」
ドラコが言うと、真緒は僅かに頰を染め、口角を上げてこくりと頷いた。
真緒「じゃあ、そうね、そうしましょう」
いそいそとバスケットを開け、一口サイズのサンドイッチと瓶に入ったカボチャスープをカップにうつしている真緒。
真緒「はい、ドラコ。あーん」
「なっ…ちょっ…」
真緒「どうしたの?」
恥ずかしくなるドラコを分かっていない真緒は、再びスプーンを口元へ持っていく。
恥を忍んで大人しくスープを飲むドラコ。
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はっさる(プロフ) - M.Sさん» はい!無理せずに頑張って下さい! (2019年9月17日 12時) (レス) id: 0296957bfe (このIDを非表示/違反報告)
M.S(プロフ) - はっさる様:ありがとうございます!そんな風に言って頂けるととても嬉しいです(^^)どんどん物語も後半に入っていきますが、引き続きお楽しみ頂ければ幸いです! (2019年9月17日 12時) (レス) id: ff3e6ddaf7 (このIDを非表示/違反報告)
はっさる(プロフ) - いきなりのコメント失礼します!毎回更新されるのが楽しみです!夢主の設定や物語の進め方がとても好きです!毎回更新を楽しみにさせてもらってます!これからもご自身のペースで更新頑張って下さい!番外編の更新も楽しみにしてます! (2019年9月14日 0時) (レス) id: 0296957bfe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:M.S | 作成日時:2019年8月23日 18時