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シリウスは真緒の眠る部屋をノックして、ちらりと扉を開けた。
「…真緒？」
ベッドで眠りこけている真緒。
疲れているのか、閉じた瞳の長い睫毛の下にくまが出来てきた。
ずり落ちそうな布団をかけ直し、彼女の顔にかかった前髪を耳へとかけてやる。
端正な顔が現れ、シリウスは静かに見つめた。
目の前で無防備に眠る未だ17歳の少女はシリウスを三度も助けてくれた。
二度は命を、そしてつい最近にはシリウスの探していたロケットをーーー
少女に助けられるというのは情けない限りではあるが、彼女の大人びた様子はとても十代のものではない。
マルフォイ家の息子と恋人だという話を未玖からきいたが、完全に対極の立場にある今でもまだ、その関係は続いているのだろうかーーー
ちょうどシリウスがプラチナブロンドを思い返した時、真緒が小さく呟いた。
真緒「ド、ラコ…」
苦しそうに歪んだ寝顔。
嗚呼、ドラコ・マルフォイだーーシリウスは彼女の想い人の名前を思い出した。
目の前の真緒は眉間に皺を寄せ、苦しそうだ。
完全に無意識だった。
シリウスは小さなその顔に手を滑らせ、額に優しく口付けを落とした。
そっと唇を離したシリウスは我に返り、赤面しながら真緒を見つめる。
「…起きて、ないな…」
小さく息を吐き、シリウスはこっそり部屋を出る。
今日の夕食は1人で食べよう、と心の中で呟きながら。
＊
真緒が屋敷に帰ってからのシリウスは、彼女に余計な家事はさせまいとよく働いていた。
出入りする騎士団にからかわれながら、シリウスは真緒を観察していた。
彼女は屋敷で本を読んだり、式神を使って訓練の練習をしたりしていた。
たまに考え事をするように窓の外を眺め、シリウスはその姿を見るたびに魅入られたように動けなくなった。
「明日からまた、魔法省かーー」
一瞬の休みだったな、と夕食を食べながらシリウスが言うと、真緒はへらりと笑って頷いた。
真緒「ーー私、今まで魔法を勉強したり実践するのが嫌になったことないの」
シリウスは脈絡のない言葉に、目をパチクリさせた。
何も言わずに続きを促すと、真緒は苦しそうに笑う。
真緒「…投げ出したいって思ったのは、これ(闇祓い訓練課程)が初めて」
宝石のような瞳が、揺らいでいた。
彼女が弱音を吐くのを見たのは初めてだった。
81(終)
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はっさる(プロフ) - M.Sさん» はい！無理せずに頑張って下さい！ (2019年9月17日 12時) (
レス) id: 0296957bfe (このIDを非表示/違反報告)
M.S(プロフ) - はっさる様:ありがとうございます！そんな風に言って頂けるととても嬉しいです(^^)どんどん物語も後半に入っていきますが、引き続きお楽しみ頂ければ幸いです！ (2019年9月17日 12時) (レス) id: ff3e6ddaf7 (このIDを非表示/違反報告)
はっさる(プロフ) - いきなりのコメント失礼します！毎回更新されるのが楽しみです！夢主の設定や物語の進め方がとても好きです！毎回更新を楽しみにさせてもらってます！これからもご自身のペースで更新頑張って下さい！番外編の更新も楽しみにしてます！ (2019年9月14日 0時) (レス) id: 0296957bfe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：M.S | 作成日時：2019年8月23日 18時
