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あの日刊予言者新聞をほんの少し読ませてくれた父は、あれ以来新聞を私の目の届く範囲に置くことをやめたらしい。
ということは、それだけ今イギリス魔法界は危険だということなのだろう。
でも今、どんな状況なのだろう…ハリーはもう生まれているのだろうか。
頭の中でぐるぐると考えていたら、ぽすっと頭に手を置かれる。
勾陳『考え事か?』
今月のお世話係は勾陳だ。
ショートカットの黒髪と意志の強そうな瞳、十二神将の中で2番目に強いらしい。
残念ながら1番強い騰蛇にはまだ会えていない。
「ねえねえ、こーちん。わたし、もっと強くなりたいの」
勾陳『まだまだ赤子の言うことではないな』
苦笑とも失笑ともとれる顔で勾陳が言った。
お世話係として、青龍、朱雀、そして玄武、天一、天后の番が終わって勾陳で六ヶ月が経とうとしていた。
この半年間で気づいたのは、其々の神将が持つ能力に近いものが私にあるのかお爺様が探っているということだ。
父は、水を操ることが出来るらしいーーーらしい、というのは聞きづてだからで、見たことも本人から聞いたわけでもないからだ。
「じゃあこーちん、わたしにはじゅうにしんしょうのみんなのなかの、どんなちからがあるの?」
勾陳『おいおい…よく気づいたな。残念だけど、どんな力があるかの調査中だよ。少なくとも水に纏わる力はなさそうだけどね』
「こーちんは、なんだとおもう?」
勾陳『どうだろう…例のゴキブリ騒動の時をみるに炎か風かもしれんが…あれじゃあ分からないな。何せ、あれはお前にとって、暴走とは程遠い小さな癇癪レベルだからーーー』
顎に手を当て、思案しながら話す勾陳。
静かにきいていると、急に話が止んだので、きょろきょろと周りを見渡すと知らぬ間にお爺様がいた。
祖父「真緒、好奇心旺盛なのも良いことじゃが…どうにも生き急いでるのではあるまいかな」
真っ直ぐと見つめられ、こてんと首を傾けて見つめ返す。
祖父「わしにとって可愛い初孫なんじゃよ、君は。たとえ君の精神年齢が幼子じゃなくとも」
「わたし、いきいそいでないよ?」
本当にピンときていない私はハテナを浮かべてお爺様を見つめる。
それを見て、お爺様は私の頭を二、三度撫でて頰に手を滑らせた。
祖父「君の人生は始まったばかりで、時間は沢山ある。それなのに、真緒。
君は日刊予言者新聞を読んで以来、何故だか随分と焦っているようじゃ」
一体、何を恐れているのかねーーーー
と、心配気に問われた。
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作者名:M.S | 作成日時:2019年5月11日 16時