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青龍との一ヶ月は、端的に言うと楽しかった。
「わたし、せいりゅうのおよめさんになりたい」
と、私が宣言して父を真っ青にさせるくらいには。
気難しそうな見た目だが(中身もだが)、実は優しいという所謂ギャップ萌えのような要素を持った彼は、陰陽道ーーー陰陽術の性質や、歴史、家系のことや彼ら十二神将についての話など、沢山の知識を与えてくれた。
しかも、とっても分かりやすい。
また、お爺さんーーーお爺様に預かられる環境になることで思わぬ副産物もあった。
それは、私がたどたどしく話しだしたりすることが公然と認められる、つまり幼子らしからぬ行動、主に言動がすべてお爺様の教育の賜物の一言で受け入れられるようになったことだ。
「ぱぱ、ぱぱ」
父「何だい、真緒〜、今日も可愛いなぁ」
私が知らない間に第二子を育んでいたらしく、妊娠の影響で体調に波のある母より、最近は父が私につきっきりだった。
「あれ、なあに？」
私は何処かで見覚えのある新聞から目が離せなかった。
父「あれはね、新聞っていうんだ。イギリスっていう国もので、英語だから真緒には読めないかなぁ」
「よみたい！ねえ、ぱぱ、よみたい！」
父「いや、う〜ん…あまり、良い内容じゃないんだよ…ん〜」
気乗りのしない父に読みたいとせがむ。
あれは、私の記憶に違いがなければ、前世で大ヒットした児童書であるハリーポッターの日刊予言者新聞だ。
「よみたい！よみたいの！」
朱雀『こんなに言うんだ、読ませてやったらどうだ？』
今月からの当番の朱雀が私に微笑みかけて、後押しをしてくれた。
父「ほんとに、1歳そこらと思えないときがあるよ…その頑固さは誰譲りだろうねぇ」
私の頬をふにふにとしながら、渋々父が私に手渡す。
しかし当然、英語が読めない。
「えいご、よめるまほうを真緒にかけて？」
きゅるん、という効果音がつきそうな上目遣いで父を見上げる。
ううっ…と目がハートの父、娘に弱すぎる。
父「今だけだよ」
「ありがと！ぱぱだいすき！」
父「パパもだぁいすきだよ〜！」
頬ずりが少し痛いがそのままにして、新聞に目をやる。
ーーー広がり続ける 闇の印
「ぱぱ、この写真ってーーー」
父「闇の印だ、これは本当に真緒は知らなくていいことだよ」
これ以上は読ませられないな、と父は苦笑いしながら新聞を私の手から回収しながら言った。
どうも、思っていたよりハードな世界に来たらしい。
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作者名：M.S | 作成日時：2019年5月11日 16時
