(ハリポタ子世代)強さが欲しい (ページ6)

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嗚呼、夢だけで済まなかったのかーーと項垂れた。

現世に産まれおちた私は、幾度となく自分の最期の瞬間の夢を見た。
皮肉にも、新たな生を受けてからより鮮明に最期を思い出し、私は度々自分の涙で目を覚ましていた。

私の前世の夫の名が、裕翔(ユウト)。

「パパと…ママにも、きかれたかなあ…」

ぽつりと零れた。
両親の前ではちゃんと赤ん坊でいたい、悟られたくなかった。
待望の第一子で、あんなにも嬉しそうに私を迎え、愛してくれる二人には、純粋な二人の子でありたかったが、あの二人も気づいていたのだろうか。

祖父「それは大丈夫じゃ。君の側には常に十二神将の一人、天后がおった」

気付かなかった。
ずっと見張らせていたなんて恐ろしいお爺さんだ。
顕現した線の細い女性をちらりと見てからお爺さんに目線を戻す。

一瞬でもシリアスな気持ちになった自分が何だか悔しい。

祖父「君には、産まれる前の記憶があるのかと推測しておるのじゃが…他に何か、素敵な能力か何か、あるかのう」

「ざんねんだけど、うまれるまえの…ぜんせでしぬまでのきおくしかないよ」

1歳の身体ではぺらぺらと喋るのはそれなりに負担がかかるようだ。
私の様子に嘘がないと判断したのか、頭を撫でられる。

祖父「うむ…素直に話してくれて嬉しい限りじゃ」

さて真緒、とお爺さんが私に笑いかける。

祖父「君は、素晴らしい陰陽師になれる。
暇な時には、この十二神将達から陰陽術の基本を教えてもらうと良いじゃろう」

お爺さんがぱちん、と指を鳴らすと先程から顕現していた天后以外の神将達が続々と現れた。

祖父「残念ながら、騰蛇と勾陳が不在じゃが、ほれ自己紹介をしよう」

順番に名前を述べる神将達を真緒の蒼い瞳が写してゆく。

祖父「さて、青龍ーーーーお主がこれから一ヶ月真緒のお世話係じゃ」
青龍『今なんと…』

放心したような顔で、蒼い髪の青年が渋る。
私だって嫌だ、こんな不機嫌そうな人ーーーと真緒は心の中で毒た吐く。

祖父「何なら二ヶ月でも良いぞ」
青龍『…一ヶ月で充分だ』

苦虫を噛み潰したような返事を返した青龍が私に向き合う。
鋭い眼光に、思わず生理的な涙が浮かぶ。

「ぅ…」
青龍『あ、おいっーー』
太陰『青龍が真緒を泣かしたぁ』

ツインテールの太陰が青龍を指差す。
青龍が鋭く太陰を睨んでから、私を不器用に抱き上げる。

青龍『泣くんじゃない、もう…どうしたら…』

ーーーー新生活が始まった。