6-3 ページ44
ルシウスは初日の夜以来、寮に関しての言及を一切しなくなった。
恐らく、クリスマスイヴのパーティーの様子で決めるのだろうと真緒は踏んでいた。
ドラコは、父がいつ真緒を引き離すのだろうと不安なのか、何かにつけて彼女についてきた。
ナルシッサについては、この件には首を突っ込みたくないのか、特に何も言うことはなかったが、真緒に接する態度は、入学前と変わった様子は無かった。
クリスマスイヴの朝。
家族や屋敷しもべ妖精がぱたぱたと忙しなく準備をする中、真緒はどのドレスを着るか非常に悩んでいた。
ナルシッサは、白、ピンク、ラベンダー、赤などの一般的なものに加え、青はパウダーブルー、ロイヤルブルー、セルリアンブルー、アクアマリン、そしてスリザリンのシンボルカラーである緑や銀はエメラルドグリーンとビリジアンカラー、ホワイトシルバー、非常に沢山のドレスを用意してくれていた。
絞ったのはパウダーブルーか、ロイヤルブルー。
迷ったが、11歳という年齢も踏まえて、純真で綺麗なパウダーブルーのドレスにした。
オフショルダーのAラインのドレスで、顔映りも良い。
髪は青龍に頼んで器用な天后を呼んでもらって、アップスタイルに、簡単にメイクもお願いした。
ドラコに貰ったバレッタも編みこんだ髪のサイドにつけて完成。
「うん、良い感じ」
鏡の前でくるり、と確認した直後、控えめなノックがして扉が開く。
ドラコだった。真緒の姿を見て固まっている。
「ドラコ？」
目の前で手を振ると、瞬きを数回してバッと赤くなる。
ドラコ「なっ、君…！」
「呼びに来たの？」
ドラコ「あ、あぁ、そうだけど。ご家族が到着したからーーー！その髪飾り…」
「ん？あぁ、ドラコがくれたから、ドレスにも似合うし付けてみたの。どう？」
ドラコ「ど、どうって…別に、似合ってるけど」
しどろもどろなドラコが面白くて、じゃあ降りるねと置いたまま部屋を出た。
待って！とドラコがぱたぱた駆けてくる。
「そういえばドラコ。白のタキシード似合ってるね、王子様みたいよ」
1階へと降りて、ドラコに微笑みながら感想を述べた真緒は、小走りで両親の元へと向かう。
残されたドラコは今度こそ、真っ赤になって動かなくなった。
それに気付いたのは、駆けてくる真緒に手を振った彼女の両親と、彼女の母リリアを出迎えようとホールに出てきたナルシッサだけだった。
(君こそ、お姫様みたいだ)
なんて、言えるほどの余裕はなかった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 160人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：M.S | 作成日時：2019年5月11日 16時
