6-1:一枚も二枚も上手 ページ42
クリスマス休暇がはじまり、真緒がマルフォイ邸へ向かう日になった。
いつもの仲良しメンバーに別れを告げた真緒は、迎えにきてくれている母親と共にマルフォイ邸へと姿を現わす。
ナルシッサ「よく来てくれたわ！」
「お久しぶりです」
柔かに出迎えるナルシッサへ、真緒は挨拶をしてからドラコの姿を探すが見当たらない。
さあ、とナルシッサに導かれて彼女は母親と客間へと通される。客間に居たルシウスとドラコが共にソファから立ち上がって出迎えた。
「お久しぶりです、ルシウスおじ様」
ルシウス「元気そうだね」
あくまでにこやかだがどこか冷たさを含んだ彼の笑顔に、真緒の笑顔が少し固まる。
ドラコは2人の様子を静かに見ているようだが、紅茶を持ってきたしもべ妖精を確認して席に着いた。
ナルシッサ「どうぞ、召し上がって頂戴」
リリア「ありがとう、シシー」
「頂きます」
手を合わせ、ケーキを口に運ぶ真緒。
一口目のケーキをこくりと喉奥まで通したのを見てから、ルシウスが口を開く。
ルシウス「そういえば、君の寮がだが…」
「えぇ、グリフィンドールです」
ナルシッサ「リリアから聞いたわ、一体なぜ…」
ナルシッサが言いにくそうに、リリアをちらりと見る。
リリア「どの寮でも良いんじゃないかしら」
ルシウス「君が、望んでグリフィンドールに？」
ルシウスは薄ら笑いを浮かべながら真緒に問う。
ドラコまでグリフィンドールを望んだらどうしてくれようかと言わんばかりの視線だ。
「特に。強いて言うなら、日本では私の瞳のような青は男の子の色という印象が強いので、グリフィンドールのような真紅は憧れの色です」
それは、非常に滑らかな答えだった。
それに蛇はあまり好きじゃないわ、と言った彼女は至極平然としていた。
ルシウスが心から納得したかは定かではないが、冷たい視線は和らいだので、ナルシッサとリリアもドラコもほっと胸を撫で下ろした。
＊
ルシウス「真緒」
夕食をご馳走になったリリアが、イヴに会いましょうと帰った後、ルシウスが真緒を呼び出した。
ホグワーツの話を聞こうとわくわくしていたドラコは不安げに真緒を見上げる。
(きっと、寮のことだ…)
その表情で心情まで読み取れたのか、真緒はドラコの頭を撫で微笑む。
「話が終わったら、ドラコの部屋に遊びに行くね」
ドラコは知る由もないが、ドラコとの繋がりを無くしたくない彼女が何も手を打たないわけが無かった。
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作者名：M.S | 作成日時：2019年5月11日 16時
