(ハリポタ子世代)強さが欲しい (ページ4)

今日:5 hit、昨日:29 hit、合計:147,983 hit

0-2 ページ4

しかしこの曲者のお爺さんが、「この時期の鷹守はーー」と赤ん坊らしいヒントを父の幼い頃を回想するかのように語りかけてくることが助けになったのは事実だった。

祖父「そういえば鷹守、リリアさん。この間の話は、考えてくれたかのう」
父「その件だが…まだ真緒は1歳にもなっていない、小さな赤ん坊だろう、だからーー」

ちらりと父が赤ん坊ベッドの上の私を見る。

父「預けることはしない。もしも、魔力が暴走した時は僕が何とかする。それに産まれたからまだ、一度も暴走はしていない」

祖父「それは、この子が非常にお利口さんだからじゃな」

ちらりと祖父も私に視線をやる。
どうやら、祖父は一度自分の元に私を置きたいようだ。

なんとも言えない緊張感が漂っていた。

「ふぇ…うぇぇぇん！！」

母「嗚呼、真緒、ごめんね、怖かったわね。
ーーーー私、ちょっと真緒と席を外しますね」

緊張感を受け付けなかった0歳の身体には生理的な涙が溢れ、それに乗じて思いっきり泣いておいた。

母は私を連れて部屋を出たが、正直なところ、より詳しい話をききたかったが仕方ない。

部屋を出て長い廊下を歩きながら母は軽く溜め息をついた。

母「真緒、ごめんね…」

私を抱く母の腕にほんの少し、力が篭る。

母「お爺様はどうしても貴女に、お家を継いでほしいみたい…私達の元じゃなくて、お爺様の側で…。貴女にはその資格があるんだって、真緒」

私を手放したくないのだろう、切なく微笑んできた母の顔を見て、思わず声を上げてしまった。

「ま…マ、マっ」
母「真緒… ママって、呼べたねぇ」

嬉しそうな母の顔で私の顔も笑顔になったのだろう、頬ずりをして私の名前を母は呼んできた。

恐らく家を継ぐ資格は建前で、得体の知れない赤ん坊である私の正体を暴きたいだけだと思う。
暴くといっても、実は精神年齢30歳の大人でしたとしか言いようもないし、赤ん坊にして物凄い術者なんてことはないけれど。

でもまぁ、あの曲者のお爺さんに30歳なんですと打ち明けて、早々に陰陽術を学ばせてもらっても悪くないかもしれない…身体は赤ん坊だけれど、思考の方は大人だし、それこそ某名探偵みたいに。

ただ、私を溺愛するお父さんが折れてくれないと、厳しいんだろうなぁ…。

私を大切に抱く母のしなやかな腕の中で、私は静かに考えていた。
しかし、思ったより早く、私はあのお爺さんに元に行くことになる。