検索窓
今日:12 hit、昨日:29 hit、合計:147,990 hit

3-3 ページ28

彼女に目を奪われてばかりで、何だか悔しくなりながらドラコは思案した。
どうしたら箒が安定するだろうか、自分がルシウスに教わった時を思い出しながらーーーー



《ドラコ、私が箒の先を持つ》

「一度、僕が君の箒の先を掴んでおこう」


ドラコは箒に跨り、君も乗ってと真緒を促す。
先程と同じく1mほどしか浮かないけれど、彼女の目の前で箒の先を持つ。


《下を見るんじゃない、顔を上げて。》

「姿勢は、そうだ。下を見るんじゃない、そうだな、目の前をーーー」


俯き加減の真緒を見つめながら言った。


《私を見なさい》

「僕を見るんだ」

真緒がゆっくりと顔を上げる。
赤みのさした頰、蒼いサファイアの瞳はドラコを捉えた直後に泳ぎだした。


「どうしたんだい、君」
真緒「え、いやいや…気にしないで」

気分でも悪くなったのかと心配したドラコは声をかけるが、何でもないの一点張り。
だが、追求をやめないドラコに根負けしたのか、少し潤んだ瞳で僕を鋭く睨みながら真緒は口を開く。

真緒「ドラコが僕を見ろとか言うから」
「へ?」

口説き文句。
そう取られてもおかしくないということに気づいたドラコはみるみる赤くなる。

「ぼっ、僕は!そんなつもりじゃ…」
真緒「大丈夫、分かってるよ。びっくりしただけだから、ね?」


真緒は恥ずかしさが落ち着いたのか、乗れるようになったみたいと呑気に笑いかけてくる。
あんなに赤くなっていた癖に、どうして僕がこんな羞恥心に襲われなきゃなんないんだ…とドラコは悶える。

そんな時、いつのまにか少し飛んでいた真緒が花畑の方で、風に煽られゆらりと傾く。
どしゃ、と転ける音ーーー。


「おいっ!大丈夫かーーー」

慌てて駆け寄ったドラコの視界に飛び込んだのは、転んだ真緒の捲れたスカートの中だった。

「あっ、水色…」
真緒「〜〜〜っドラコ!!」

むくりと起き上がった真緒が涙目でドラコを睨みつける。どうやら大きな怪我は無かったらしい。

「ち、違う!みてない!これは事故だ!!僕は悪くないぞ、どちらかというと僕は被害者じゃーーー」


必死に弁解するドラコ。
しかし、真緒は少し俯向き、黙り込んでいる。
事故とはいえ、女の子の下着を見たことは謝ったほうが良いかもしれない、そう思ったドラコはしゃがみこんで誤った。




「ーー悪かったよ」
真緒「え?」

「少し見えてしまった、から、勿論わざとじゃないっ!…だから怒らないで」

3-4→←3-2



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.4/10 (44 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
160人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:M.S | 作成日時:2019年5月11日 16時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。