(ハリポタ子世代)強さが欲しい (ページ3)

今日:17 hit、昨日:29 hit、合計:147,995 hit

0-1:産まれ落ちた私ページ3

あ、私死んだんだ。

そう認識する間もなく、真っ暗闇から光の中に飛び出した。

「おぎゃぁ、おぎゃぁーーーー」
「可愛い女の子ですよっ、リリア様！」

ん？

「リリアに真緒、頑張ったね！！
あぁ、本当に無事に産まれて良かった…！」
「貴方と同じ黒髪だわ、可愛い」
「瞳はリリアのサファイアを受け継いでる、きっと君に似て美しくなるよ」

私を笑顔で見つめる美男美女。
記憶を遡る。

私、30歳になったばかりの誕生日で…あ、事故だ。

交通事故で夫と共にこの世を去った私は、どうやらその30年間の記憶を保持したまま新たな命を受けたらしい。
目の前の美男美女は両親なのだろう。

＊

土御門家の長女として産まれた私は、自分の環境を理解する時間があった。
何しろ赤ん坊というのは暇な上、私の精神年齢は30歳と成熟しきっているからだ。

まず、自分は前世と同じ日本に住んでいる。
違うのはその時代と環境だ。
時代は確実に前世より逆行しており、どうやら陰陽術という魔法のようなものを使う一族にいるらしい。

前世でもちらっと聞いたことのある安倍晴明。
彼の子孫にあたる家系であり、これまたちらっと聞いたことのある『陰陽師』というのは、ここでは実際に存在する。

もしかすると、前世でも知らないだけで存在していたのかもしれないが。

父「真緒ちゃ～ん、パパですよぉ～」

おっと、完全に腑抜けた顔の父がいないないばあをしてきた。
反応しておく。

真緒「あぅ！」
父「可愛いぞ～、どうしようリリア、可愛いぞ！」

完全に親馬鹿である。
こんなにも腑抜けた顔をしているが、どうやら父は陰陽師としてかなりの腕前を持つらしい。

母「真緒、ママって呼んでごらん！ママ、ママよ」

今度は母が視界に映る。
今日も贔屓目なしに美しい。

真緒「…マぁ！」

難しい。
油断すると喋りそうになる私は、所謂赤ん坊を演じることにストレスを感じていた。
そしてそのストレスが極限まで高まるのがーーーー

祖父「おやおや、今日もかぁわいいのう」

この老人である。

母「お爺様！今日は邸に来られたのですね」
朱雀『主(アルジ)の代わりに白虎が校長になっている』
父「朱雀、久々じゃないか。元気そうで」

この祖父にあたる土御門高郷は土御門家きっての切れ者だ。
これまでも私の赤ん坊らしくない行動に目敏く気付き、「はて、不思議じゃ」とか「こりゃ珍しい」とか言いながら一人の時に声をかけてきた。