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庭園を案内してくれるドラコは、凄いね、素敵だねと褒めると素直に喜ぶ為、その様子を見たくて私は誉め続けた。
その結果、私とドラコは妹とはぐれてしまった。
「未玖〜！どこにいるの〜？」
幸い、色とりどりの花達の傍にしゃがむ妹の姿をすぐに見つけることができた。
「心配したよ」
すぐさま駆け寄ると、しょんぼりとした顔でこちらを見上げてきた。
未玖「おねえちゃん、どらこばっかりほめるんだもん」
眉を八の字にして訴えてくる姿に、思わず頭を撫でながら着物の裾が汚れるのも構わず、隣にしゃがみこんだ。
「寂しくさせちゃって、ごめんね」
未玖「きてくれたから、いいよ。ここにね、へんないもむしがいるの」
「え、うわぁ…それは、何だか面白いね」
妹に悪意がないことはわかっているが、気持ち悪い虫を掴みながら、生き生きとした顔で目の前に持ってこられて、私の顔は引きつった。
「捕まえたら可哀想だから、元の場所に返してあげよっか」
未玖「うん！ねえねえ、おねえちゃん、このおはな、きれい」
「そうだね、これはマリーゴールドっていうの」
ドラコ「ねえーーー 未玖「このしろいのは？」
「それはガーベラかな」
ドラコ「ねえ！むしするーーー 未玖「おねえちゃん、すごいね！なんでもしってる！」
ドラコの言葉を連続で遮る妹に、そろそろ不味いのではとドラコに向き直ろうとすると、それより前にはらり、と留まっていた髪が落ちた。
「あれ？」
私が把握するより早く、妹がドラコに飛びかかる。
未玖「おねえちゃんのかんざし！
かえして！ばか！」
ドラコ「おまえが、ぼくのじゃまするからだ！」
未玖「かえして！！！」
ドラコが私の髪から抜き取った簪を妹がしっかり掴む。二人とも離さず簪を引っ張り合う。
嫌な予感がしたーーーー間もなくばきっ！と嫌な音を立てて簪が折れ、二人は放心状態で無残な簪を見つめていた。
すると余程大きな声だったのか、呼びに来ようとしていたのか大人達が集まってきた。
ナルシッサ「何事なの？」
未玖「どらこが！！おねえちゃんのかんざしとるんだもん…」
泣き出す妹に母が駆け寄り、一体何故？と私に表情で問いかけてくる。
「それは…」
ドラコ「そっちがぼくをむしした！だからーー…」
ルシウス「だから、無関係の真緒の簪をとったのか」
冷たい視線にドラコがたじろぐ。
その瞳に涙が浮かび、後ずさった後、玄関ホールへと飛び出して行った。
ナルシッサ「ドラコ！」
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作者名：M.S | 作成日時：2019年5月11日 16時
