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暫くすると少し楽になってきて、慌てなくてもうまく息ができるようになっていた。
「そうそう上手。あともう少し。」
うんと頷きゆっくりの呼吸を続ける。
「吃驚したな。もう平気か?」
私の頭に優しく手を乗せて聞いてくれる潤くん。
小さく頷いて「ありがと」と口パクする。
「どういたしまして、よかった。」
撫でられた、やっぱり安心する。
するとコンコンと扉がノックされておーちゃん先生がふにゃっとした笑顔で入ってきた。
「まちゅ...っ痛っ...松潤から過呼吸起こしかけたって聞いたんだけど、無事に治まったみたいだねぇ。よかったよかった。」
「何でいつも俺の名前かむの?」
って苦笑した潤くんは「あとはおーのせんせーよろしく」と出て行っちゃった。
たくさんお仕事あるもんね。私だけに構ってる時間なんてない。
無駄な労力使わせちゃった。
おーちゃん先生はまたねぇ〜ってブンブン手を振って見送ると私のベッドの隣にパイプ椅子を持ってきてどすっと腰を下ろした。
「もう息は苦しくない?」
うん、と頷いて口パクで私なりに大丈夫だと伝える。
そっかとおーちゃん先生は微笑んで「頑張った頑張ったぁ」と頭を撫でてくれた。
少し話をしたくなってノートとペンを取り出す。
<ゆめにお母さんとお母さんの男の人出てきた。いらないとか気もちわるいって言われちゃって、こわかった。>
って書いて先生に見せる。
おーちゃん先生は少し曇った顔をしてた。
こんな話聞きたくない、よね。
目を逸らして伏せる。ごめんなさい、と口を動かした。
と同時にふわりと包まれる様な感覚。
仄かに香る大人な珈琲の香り。おーちゃん先生の香り。
「そっかそっか、夢でもたくさん戦ってたんだね。怖かったのによく頑張った。偉い偉い。だけどもう大丈夫だよ〜。ちゃんと俺たちがいるから。俺たちはAの味方。だから安心していいんだよ。迷惑って思わなくていいからね〜。たくさん甘えて?」
とん、とん、と、一定のリズムで背中を叩いてくれる。
熱くなったと思えばほろほろと涙が流れてくる。全て読みとられた気がした。
とても心が軽くなる。
私はおーちゃん先生の胸の中で涙をたくさん流した。
病室に響く静かに啜り泣く音と背中を叩く音、そして先生の「大丈夫大丈夫」と優しい声。
「おぉ、スゲエ顔。」
はい、ちーんってティッシュで鼻をかませてくれる。
落ち着いた?って言われたからうん、と頷いて、にこっと笑ってみせた。
でもまだ少しひっかかる...
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あさ(プロフ) - 5人が忙しくて、主人公がストレスをためて、発作をおのすが、見たいです。 (2017年11月28日 18時) (レス) id: f3fc70be44 (このIDを非表示/違反報告)
優(プロフ) - 憂依さん» ありがとうございます!よろしくお願いしますm(*_ _)m (2016年4月6日 8時) (レス) id: d375406796 (このIDを非表示/違反報告)
憂依(プロフ) - 優さん» リクエストありがとうございますノノ `∀´ル承りました。更新までしばらくお待ちくださいませ(`・3・´) (2016年4月6日 5時) (レス) id: a10bf46b60 (このIDを非表示/違反報告)
優(プロフ) - 憂依さん» 全然大丈夫です!(´˘`*)リクの内容なのですが、主人公ちゃんがストレスを溜めすぎて自傷をしてしまい先生達が支えるみたいなお話が見たいです! (2016年4月5日 0時) (レス) id: d375406796 (このIDを非表示/違反報告)
憂依(プロフ) - 数分で返してきた怖いなんて思わせたらごめんなさいorzたまたまなんで。リクエストは受け付けてますよ〜。設定にもある通り、誰がどのようにというのをできるだけ詳しく(アバウトな場合はこちらで決めさせてもらいます)書いていただければ!お待ちしてます(*'◇') (2016年4月4日 0時) (レス) id: a10bf46b60 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:羽苡 | 作成日時:2016年2月12日 22時