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お部屋に行くと私のもう1人の主治医、二宮先生こと和先生が待っていた。
「A、1回胸の音聞くよー。」
「...っ!!!」
嫌っ!!
抵抗しても容赦なくおーちゃん先生に固定されて服を巻くられて聴診器を入れられる。
「A、息止めないで。すーはーでしょ?ほら大野先生とやってみて?」
「A一緒にやってみよー?はい、すー」
「はぁー...」
「そうそう上手。そのまま大野先生とやっててよー?......うん、頑張りました。じゃああとは吸入しよっか。」
おーちゃん先生から和先生の腕の中に引き渡される。
正直に言えば吸入、大嫌い。
でも命に関わるんだよって...そう言われたからいつも頑張ってる。
点滴に比べたらまだマシだもん。
吸入器の前に座らされて、いつもの如く和先生にマスクを当てられる。
もうこれ嫌いだよ...!
「このモクモクが終わったらこれでおしまいだからね。もう少し頑張れ。」
......もう、頑張ってるのに。
なんて言ったら先生方は絶対に悲しむ。
こんなに尽くしてくれる先生、今までいなかったもん。だから私はお得意のポーカーフェイスで隠すんだ。
「...はーい、おしまい。よく頑張りました。」
マスクを外してもらって、頭を撫でてもらう。
「頑張ったねぇ、A〜。」
ちょっと照れくさいけど嬉しい...
「でもA、吸入器持ってってなかったの?」
和先生が私の目線に合わせて、ん?って首を傾げて問う。
......違うよ。落としちゃったんだよ。
どう言えば伝わるかな。
あ、そうだ。
んっと和先生に抱っこを求めてみる。
「珍しいね。よいしょっ...」
抱っこしてもらって、和先生の白衣のポケットに入ってるボールペンをスッと抜き出す。
「...?ボールペン?」
こくんと頷いて、それをストンと落としてみる。
これで通じればいいんだけどなぁ...
通じる、かなぁ
「ボールペンを落として...何したいのA。俺の話聞いてた?」
聞いてるよ!!だから理由...を説明してるのにー!!どうして伝わらないの!!
もっかい、腕を上げて下におろすっていうのをやってみた。
それでも通じなくて何回も何回も...
和先生は途中から怒りそうになって、私も通じなくて泣きそうになってた。
「...あー、わかったー!吸入器落としちゃったの?」
ポンッと手を叩いておーちゃん先生が言う。
やっと伝わった。
うんうんと激しく首を振る私に和先生も納得したみたいで「そっか、すぐわかんなくてごめんな?」って謝ってくれた。
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あさ(プロフ) - 5人が忙しくて、主人公がストレスをためて、発作をおのすが、見たいです。 (2017年11月28日 18時) (レス) id: f3fc70be44 (このIDを非表示/違反報告)
優(プロフ) - 憂依さん» ありがとうございます!よろしくお願いしますm(*_ _)m (2016年4月6日 8時) (レス) id: d375406796 (このIDを非表示/違反報告)
憂依(プロフ) - 優さん» リクエストありがとうございますノノ `∀´ル承りました。更新までしばらくお待ちくださいませ(`・3・´) (2016年4月6日 5時) (レス) id: a10bf46b60 (このIDを非表示/違反報告)
優(プロフ) - 憂依さん» 全然大丈夫です!(´˘`*)リクの内容なのですが、主人公ちゃんがストレスを溜めすぎて自傷をしてしまい先生達が支えるみたいなお話が見たいです! (2016年4月5日 0時) (レス) id: d375406796 (このIDを非表示/違反報告)
憂依(プロフ) - 数分で返してきた怖いなんて思わせたらごめんなさいorzたまたまなんで。リクエストは受け付けてますよ〜。設定にもある通り、誰がどのようにというのをできるだけ詳しく(アバウトな場合はこちらで決めさせてもらいます)書いていただければ!お待ちしてます(*'◇') (2016年4月4日 0時) (レス) id: a10bf46b60 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:羽苡 | 作成日時:2016年2月12日 22時