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「ごほっ...ごほっ...」


喉にしみる。
吸入するのも一苦労。


何とか自分で対処して治まってきそうだけど...

ひゅーひゅーが続いて苦しい。




もうこれ以上喉を傷めたくない。


だけど、そんな願いもむなしく、止まらない咳。
いつか喉からがばって血が出てくるんじゃないかって思っちゃった笑


吸入しなきゃいけないのかな、呼んだほうがいいかもしれないけど...







もういいや。



自分でも馬鹿な事してるとか、怒られることしてるってわかってる。わかってるけど。


安静時間だから看護師さん方も決まった時間以外はあまり見回りに来ない。



今は幸い点滴もしてないし。
外に出ちゃえ。
 


上着を羽織って、こそーっと病室を出て、人目を盗んでナースステーションの前を通り過ぎる。
 
 
 
「あー!!!」


びくっ

バレた!?




そーっと振り向くと、そこにいたのは五十嵐さん。

桶?を持ってるから誰かの体を拭きに行こうとしてるのかな?


「Aちゃん、病室抜け出しちゃ駄目でしょー!!ほら、お体綺麗にしに戻ろ?」


私の清拭だったようです。
たしかにいつもなら午前中にやるのに今日は来なかったなぁ。

忙しかったんだ。


でもそれだけ私のことどうでもよかったってことなんでしょ?
それに今、体を見られたら、あのぶくぶくしてるのがバレる。




もう、やだ!!嫌い嫌い嫌い...大っ嫌い!!



先生も看護師さんも、私自身も。






「ちょっ、Aちゃん!?」


優しく握ってくれた五十嵐さんの手を振り払って、私は病棟から出ようと走り出した。
後ろから「Aちゃん捕まえて!!」って看護師さん方の声が聞こえるけどもうどうでもいい

怒られたって、いいもん。



病棟を出て、大きく広い廊下をただただ走る。




久しぶりに走った感覚は、気持ちよくて、自由だって感じた。
よく翔先生から借りる小説に『風を感じた』って表記かあるけど、まさにこのことなんじゃないかって思った。


でも私問題入院児になっちゃったかもしれない。

最初は気持ちよく走ってたけど、ずっとベッドの上にいたり、移動も車椅子だったから体力が持たなくてすぐに息が切れてきた。


壁に手をついて深く深く呼吸をする。



そしてまた走り始めた。
もういっそ病院外に出てしまおうか。



5年間もここに閉じ込められて、私は中庭以外の外の世界を知らない。


どうせなら、もしも息が切れるなら病院の外がいい。


そう思って走った。
 

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あさ(プロフ) - 5人が忙しくて、主人公がストレスをためて、発作をおのすが、見たいです。 (2017年11月28日 18時) (レス) id: f3fc70be44 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 憂依さん» ありがとうございます!よろしくお願いしますm(*_ _)m (2016年4月6日 8時) (レス) id: d375406796 (このIDを非表示/違反報告)
憂依(プロフ) - 優さん» リクエストありがとうございますノノ `∀´ル承りました。更新までしばらくお待ちくださいませ(`・3・´) (2016年4月6日 5時) (レス) id: a10bf46b60 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 憂依さん» 全然大丈夫です!(´˘`*)リクの内容なのですが、主人公ちゃんがストレスを溜めすぎて自傷をしてしまい先生達が支えるみたいなお話が見たいです! (2016年4月5日 0時) (レス) id: d375406796 (このIDを非表示/違反報告)
憂依(プロフ) - 数分で返してきた怖いなんて思わせたらごめんなさいorzたまたまなんで。リクエストは受け付けてますよ〜。設定にもある通り、誰がどのようにというのをできるだけ詳しく(アバウトな場合はこちらで決めさせてもらいます)書いていただければ!お待ちしてます(*'◇') (2016年4月4日 0時) (レス) id: a10bf46b60 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:羽苡 | 作成日時:2016年2月12日 22時

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