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side O
Aの心の声を聞いて吃驚した。
あんな小さな身体でこんなに大きな思いを抱え込んでいるなんて思わなかったから。
...Aから目を背けていた証拠だ。こんなのは言い訳に過ぎない。
カウンセリングや他愛ない会話でもAの心境の変化なんて今までもずっと感じていたはず。
しょーくんの言うように、大人過ぎたAに甘えてたのかもしれない。
この生活に慣れているAの過去を俺らもちゃんと見てあげるべきだった。
よくカウンセリングに連れてくる兄弟連れの母親が、下の子に手をかけすぎても上の子は何も言わずに自分のことをしっかりとやってくれてるから大丈夫だと思って油断してましたって悔みながら話すことが多々あるけど、今回は紛れもなくそれだ。
そっと汗ばんでる額を触れるように撫でる。
「おじさんもやっぱりたまには頭抱えるんですね?人間でよかった笑」
「俺だって悩み事の1つや2つあるやい...!」
「あー、はいはい、わかりましたから大きい声出さない。せっかく寝てる姫が起きますよ?」
「う...ニノの馬鹿ぁ...」
「貴方に言われたかありませんよ。」
「Aさ、ずっと5年間、我慢してたんだよね...。なのに俺ずっと気付けなくて...ずっと一緒にいるのに...。」
ベッドサイドでAの手を握ってるあーばちゃん。
しょーくんをはじめとした、あーばちゃん、松潤は自責が酷い。
今回のことだって、確かに責任はあるけど1人だけの責任じゃない。
皆がちゃんと見てなかったことに原因があったんだ。
「......仕事、戻った方がいい、よね。俺、まだやることあるから、戻るわ。」
解熱剤を点滴し終えた松潤が静かに言うと、各々頷いて、また後でね、等と声をかけると病室の扉に手をかけた。
と同時に、ドンッとベッド側から大きな音。
「...Aっ!?」
声を荒げたのはあーばちゃん。皆、何事かと思って振り向いた。
突然、自分の首を何かから逃げるようにして、引っ掻き始めた。
「Aー、痛くなるから掻かないよー。」
しょーくんが優しくAの両腕を掴む。
それでも何かから逃れるようにバタンバタンと両足を激しく動かし抵抗して、もがいてるように暴れるA。
ニノ、あーばちゃん、松潤で抑えて止めている。
押さえてからおさまったと思うと今度はぽろぽろと涙を流し始めた。
「A〜、だーいじょうぶ...。怖くないよ。俺の声聞こえる?聞こえたらぎゅって握ってみ?」
俺はAの手をとってそっと声をかけた。
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あさ(プロフ) - 5人が忙しくて、主人公がストレスをためて、発作をおのすが、見たいです。 (2017年11月28日 18時) (レス) id: f3fc70be44 (このIDを非表示/違反報告)
優(プロフ) - 憂依さん» ありがとうございます!よろしくお願いしますm(*_ _)m (2016年4月6日 8時) (レス) id: d375406796 (このIDを非表示/違反報告)
憂依(プロフ) - 優さん» リクエストありがとうございますノノ `∀´ル承りました。更新までしばらくお待ちくださいませ(`・3・´) (2016年4月6日 5時) (レス) id: a10bf46b60 (このIDを非表示/違反報告)
優(プロフ) - 憂依さん» 全然大丈夫です!(´˘`*)リクの内容なのですが、主人公ちゃんがストレスを溜めすぎて自傷をしてしまい先生達が支えるみたいなお話が見たいです! (2016年4月5日 0時) (レス) id: d375406796 (このIDを非表示/違反報告)
憂依(プロフ) - 数分で返してきた怖いなんて思わせたらごめんなさいorzたまたまなんで。リクエストは受け付けてますよ〜。設定にもある通り、誰がどのようにというのをできるだけ詳しく(アバウトな場合はこちらで決めさせてもらいます)書いていただければ!お待ちしてます(*'◇') (2016年4月4日 0時) (レス) id: a10bf46b60 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:羽苡 | 作成日時:2016年2月12日 22時