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この手を貴女の小さな背中に回したかった ページ7

突然の訃報だった。予測できないものだった。
私にも、そして妖夢にも親しく接してくれていたAが死んでしまったのだ。原因は不明。病気やら、不慮の事故やら……はたまた年齢を誤魔化していて老衰か……までとも囁かれていた。葬儀の最中にそんな話をされるのは、良い気分ではない。Aのことを思って泣いている者がいるのに、だ。前方の彼女……妖夢だって、その1人に違いない。まるで親友同士かのように、楽しそうにAと2人で過ごしていたのだから。失礼かもしれないが、妖夢の顔を覗き込んだ。根も葉もないAの噂話を断ち切る一つのきっかけにする為に。

「……妖、夢?」

彼女の名を呼びながら、その頰を、目を見た。涙なんて一筋も流れていなかった。大きく見開かれた目。何かを我慢するような、きゅ、と結ばれた口元……明らかに無理をしていた。声を上げて泣きたかったろうに。周りに半人前だと思わせたくなかったのだろうか。あるいは、Aを心配させない為……どちらにせよ、Aがこんな妖夢のことを心配しない訳がないのだ。

「……文さん?何か、用でも?」

私の視線に気づいたか、小さな声で名を呼んだ。なんでもないわと言って首を振り、姿勢を正すと、妖夢も何事もなかったかのように視線を戻した。


葬儀が終わった後も、妖夢の表情は強張ったままだった。涙なんて見せるものか、という強い意志が伝わってくるようだった。……でも。

「私は半人前扱いなんざしないのに、どうして私に対してまでなんでもないの一点張りなのかしら」

顕界でできた初めての親友を失った彼女の胸中はとんでもないことになっているはずなのに、それを誰にも打ち明けようとしない。主にさえも、だ。

「もしかしたら、だけど」

今までずっと、お前は何もわかっていない、半人前だ、ということを言われ続けていたから、一定の他人に不信感を持っているのかもしれない。

こればかりは、彼女達を恨むしかなかった。

妖夢は顕界に来なくなった。

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設定タグ:東方Project , 射命丸文 , 魂魄妖夢   
作品ジャンル:恋愛
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ゆめえぬ(プロフ) - ミリアさん» 私も2時間ちょっと前に終わったところですね。お疲れ様です。お誘いは嬉しいのですが、当方東方しかまともに書けないので……すみません。 (2019年12月9日 21時) (レス) id: 201cd87573 (このIDを非表示/違反報告)
ゆめえぬ(プロフ) - 星スピカさん» ありがとうございます…… (2019年12月9日 21時) (レス) id: 201cd87573 (このIDを非表示/違反報告)
ミリア - お仕事終わりました。すみませんでした;;更新頑張って下さいね! (2019年12月9日 16時) (レス) id: 529b85d986 (このIDを非表示/違反報告)
星スピカ - 友人で仕事中のミリアさんが「すみませんでした;;更新頑張って下さい」って言ってました。 (2019年12月9日 12時) (レス) id: c52f7f856a (このIDを非表示/違反報告)
ゆめえぬ(プロフ) - 星スピカさん» ありがとうございます!不定期更新なので、気が向いた時にでも見て行ってください……! (2019年12月9日 12時) (レス) id: 201cd87573 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ゆめえぬ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/muraku461/  
作成日時:2019年5月1日 21時

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