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純粋に病む魂魄妖夢(2) ページ24

3.
 寒い日の夜。密着して寝るには丁度良い夜だった。隣で気持ちよさそうに眠る彼女の髪を撫でる。頰に指を滑らせ、口元に持っていく。唇の僅かな隙間が目に入り、なんだか愛おしくなってきてしまって、そっと彼女の口を塞いでみた。
「っ!? 」
 すると彼女が狙ったかのように私の首を両手で挟んだ。これは狸寝入りである。そうに違いない。そう考えた瞬間には、既に首が締め付けられていた。窒息しない程度に加減されているからまだ良いのだが……とりあえず唇を離す。それとほぼ同時に手も離された。
「……ちょっとちょっと。何をする気だったのよ」
 目を閉じたままの彼女に問う。先程の状態を続けていたら、あの世にいながらにしてあの世に行くことになってしまうところだったのだ。落ち着いていられる訳がない。
「いや、だって。一緒に地獄に落ちたら道は違えど幸せになれるじゃない? 」
 貴女を地獄に落として私も落ちる、か。そんないい笑顔で、言わなくたっていいじゃないか。私は彼女を強く抱きしめた。折れてしまわないように、優しく。

4.
「寒いわねぇ」
 人間の里。いつものように鈴奈庵に新聞を届けに行くだけなのだが、何故か妖夢がついてきた。仕事は大方終わらせてあるし、半身も置いてきたし私も買い出しの用があるからと言われたので大丈夫だろう。幽々子にも許可は取ったらしい。まあ、どちらにせよ妖夢を幸せにしないと桜の木の下に眠らせると幽々子に言われているので許可がなくても連れて行ったのだが。
「そうね」
 着物を羽織り、私の片腕にしがみつく彼女。いつもよりも女らしく、しかも優しく手を握ってくるものだから驚いてしまう。
「あらやだ、人前じゃ重い愛なんて押し付けないわよ。それに今の鈴奈庵には前々から興味があったし。小鈴ちゃん、だったわよね。その子の子供や孫達が継いでいるんでしょう? 初対面なんだし、引かれる訳には行かないじゃない」
 私の目を見つめ、微笑む彼女。濁っていた目に光を灯し、目的地を見つけては私の手を引いて駆けていく。あんな顔もできたのか。……違う。あれが本来の彼女だったのだ。小鈴ちゃんがまだ少女だった時のあの彼女こそが、本当の彼女なのだ。なら、今の彼女は妖夢ではない? それも違う。私に見せる面が他の人と違うだけだ。そう思うと異様に重い愛も悪くない。だって、彼女にとって私は特別な存在ってことじゃない? 私にとって彼女は特別な存在。相思相愛だ。

私が夢小説の主人公ならば→←純粋に病む魂魄妖夢



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設定タグ:東方Project , 射命丸文 , 魂魄妖夢   
作品ジャンル:恋愛
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ゆめえぬ(プロフ) - ミリアさん» 私も2時間ちょっと前に終わったところですね。お疲れ様です。お誘いは嬉しいのですが、当方東方しかまともに書けないので……すみません。 (2019年12月9日 21時) (レス) id: 201cd87573 (このIDを非表示/違反報告)
ゆめえぬ(プロフ) - 星スピカさん» ありがとうございます…… (2019年12月9日 21時) (レス) id: 201cd87573 (このIDを非表示/違反報告)
ミリア - お仕事終わりました。すみませんでした;;更新頑張って下さいね! (2019年12月9日 16時) (レス) id: 529b85d986 (このIDを非表示/違反報告)
星スピカ - 友人で仕事中のミリアさんが「すみませんでした;;更新頑張って下さい」って言ってました。 (2019年12月9日 12時) (レス) id: c52f7f856a (このIDを非表示/違反報告)
ゆめえぬ(プロフ) - 星スピカさん» ありがとうございます!不定期更新なので、気が向いた時にでも見て行ってください……! (2019年12月9日 12時) (レス) id: 201cd87573 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ゆめえぬ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/muraku461/  
作成日時:2019年5月1日 21時

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