謎の権力を用いるな！ ページ21
「お山が認めているんだもの。
貴女の背中に羽が生えていたとしても誰も驚きやしないわ？ 」
修験者として修行を続けていた私に、彼女がそう笑いながら言うのだ。冗談じゃない、と目を背けるも、黒い翼を広げた少女は私を抱きしめて離さないのであった。
「さっさと自分はそうだって思い込んじゃえばいいものを。変なところで真面目なんだから」
───およそ二百年前。五十に満たぬ頃から彼女に恋い焦がれていた私は、普通より早く殿方と結婚して子供を授かり孫の顔をも見た。自分自身が祖父に教えられていた時のことを思い出して、孫が一通りの技を覚え、精神を磨く術を丁寧に教えてから山籠りを始めた。私を阻む者は誰もいない。幽々子様の従者たる者は息子や義理の娘がいてくれるし、孫も興味を持ち始めるところだろうし。
ただ、なんというか。私が妖怪の山で修行を始めると言い出した時の幽々子様は……妙に嬉しそうだった。理由がわかっていたのだろう。彼女と一緒に過ごしたいから、なんて。
理由が理由でも、修行をする為に山伏となったことには相違ない為、白玉楼にいた頃よりもずっと高みを目指した。速度を上げるだけでなく、衝撃に耐える為の特訓も欠かさない。精神統一も心をさらに鍛える為には重要だ。玄武の沢で滝に打たれたこともあった。勿論天狗の領域にも山姥の領域にも近づかなかった。というよりも、近づく余裕もなかったのだが。修行をしていく間に、彼女への想いもどこかへと消えた。消えたはず、なのだが。
『あら。見違えるほど強くなったじゃない。纏う妖気からして人間をやめているレベルね』
百年前。そう言いつつ笑いながら近づいてきた時から、何かがおかしくなっていった。手合わせを仕掛けられ、手加減をされつつも強いと言われ、山伏天狗になっていてもおかしくないとまで断定される。その直後天狗の里に連行され、何故か戦わされ、仲間と認められ……
そして冒頭に至る。今度は鴉天狗にでもなれる、って？ 冗談じゃない。そもそも山伏天狗の仲間入りをした地点でもおかしいのに、突然の鴉天狗だって？ 段階を飛ばしすぎるのにも程がある。努力をさせてほしい。努力を。
「折角大天狗様が貴女を好きでいるのに、勿体ないわねー」
大天狗様、って……貴女のことでしょうが。やめなさい。謎の権力を用いて私の背中に翼を生やそうとするな。白くて綺麗とか呟くんじゃない。アルビノ？ 知らない。でも、別に……嫌いじゃない。
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ゆめえぬ(プロフ) - ミリアさん» 私も2時間ちょっと前に終わったところですね。お疲れ様です。お誘いは嬉しいのですが、当方東方しかまともに書けないので……すみません。 (2019年12月9日 21時) (
レス) id: 201cd87573 (このIDを非表示/違反報告)
ゆめえぬ(プロフ) - 星スピカさん» ありがとうございます…… (2019年12月9日 21時) (レス) id: 201cd87573 (このIDを非表示/違反報告)
ミリア - お仕事終わりました。すみませんでした；；更新頑張って下さいね！ (2019年12月9日 16時) (レス) id: 529b85d986 (このIDを非表示/違反報告)
星スピカ - 友人で仕事中のミリアさんが「すみませんでした；；更新頑張って下さい」って言ってました。 (2019年12月9日 12時) (レス) id: c52f7f856a (このIDを非表示/違反報告)
ゆめえぬ(プロフ) - 星スピカさん» ありがとうございます！不定期更新なので、気が向いた時にでも見て行ってください……！ (2019年12月9日 12時) (レス) id: 201cd87573 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆめえぬ | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/muraku461/
作成日時：2019年5月1日 21時
