弄んだ罪 ページ9
ずかずかと部屋に入ってきたオオノにビールとジョッキを差し出す。
「気前がいいねぇ、Aちゃん」
嬉しそうに言うオオノ。
「今回は感謝しなきゃね」
オオノが隠し撮りしたから今回のようなことが起こり、過去が明らかになったのだ。
そのおかげでサクライを知れ、やっと本気で向き合えた気がする。
「でしょ？オイラのお手柄」
...ただ、隠し撮りは褒められたことではない。
それで胸を張るのは違う気もするのだけれど。
「で、判った？翔ちゃんと美那飛さんがどういう関係だったか」
「うん。なんとなくね」
「そっか。それにしても翔ちゃん、姉妹を同時に相手にするなんて悪いよねー！勇気あるねー！」
「まぁ＿＿＿っていうかさ、知ってたの？」
口の周りにビールの泡をつけたオオノが首を傾げる。
「なにを？」
「だから...二人の関係だよ」
「知ってたよ」
さらりと答えるオオノ。
「Aちゃんと付き合うようになった報告と一緒に相談されたから」
「そ、相談？」
「そう。『俺、Aと付き合うからあいつと会うのやめた方がいいよな』って言ってきたから、オイラが『美那飛さんは彼女じゃなくて友達だからいいじゃん』って止めたの」
思わぬカミングアウト。
驚愕の次に沸いてきたのは当然怒りだ。
「じゃあ写真を私に見せた時、アンタは全部知ってたの...？」
「うん」
怒りで拳がわなわなと震えた。
悠々とビールを堪能するオオノからジョッキをひったくり、そして耳元で叫ぶ。
「オオノのばかぁぁあああぁぁぁッ！！」
朝の空気に叫び声がこだました。
「うへっ！」
オオノが変な呻き声をあげて後ろに転ぶ。
「ふう」
無様な姿をみてすっきりとしたので、ビールを机に戻してやる。
「ちょっと、耳許で叫ばないでよ」
起き上がりながら不満を口にするオオノを睨むと、しゅんとうなだれた。
「もとはといえばあんたが悪いんでしょ！？面白がってたくせに」
「別にそういう訳じゃ＿＿」
「じゃあなによ！」
「いや、だからさ＿＿＿」
「もう知らない！あんたなんか嫌いだからね」
不貞腐れたふりをしてベッドに寝転ぶ。
もちろんオオノが全て悪いわけじゃないし、直接ぶつかり合ったから本当に私たちは分かり合えたのだ。
その点には感謝している。
だが、私の繊細な気持ちを弄んだ罪は重い。
土下座でもしたら許してやるか＿＿＿
そう思って目を瞑ると、眠りの世界に吸い込まれていった。
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黄昏水晶 - もえさん：ありがとうございます！率直にそう言ってもらえると嬉しいです。 (2015年8月2日 12時) (
レス) id: b5cdbd3ae8 (このIDを非表示/違反報告)
もえ - うぉぉぉぉぉ！！！！！面白いーw (2015年8月1日 2時) (レス) id: f4a5ca3939 (このIDを非表示/違反報告)
黄昏水晶 - 杏仁どーふさん:ありがとうございます。これからも応援よろしくお願いします。 (2015年4月1日 16時) (レス) id: b5cdbd3ae8 (このIDを非表示/違反報告)
杏仁どーふ(プロフ) - 続編おめでとうございます(*^^*)応援してます♪ (2015年3月30日 22時) (レス) id: e8420b0568 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：黄昏水晶 | 作成日時：2015年3月27日 11時
