甘いいたずら ページ24
サクライの顔色を窺うと、こちらを見下ろして薄い笑みを浮かべていた。
「…拗ねてなんか、ないんだからね」
「でも俺が来てくれて嬉しいって顔に書いてあるけど？」
サクライの手の甲が私の頬をするすると撫でる。
…やっぱりこの人にはお見通しだ。
「そんな期待された目で見られてもここじゃ何もしてあげられないなぁ」
「なっ…期待なんか…」
「それとも誰かに見られたい？」
「み、みみ、見られたいだなんて…！」
私があわあわしているのを尻目にサクライは後ろにいるオオノをちらりと見る。
オオノは両手で自分の目を覆いながらも指の隙間からしっかりこちらを覗いていた。
「オイラ、翔ちゃんとAちゃんがイチャイチャしてるとこなんて見てないからね！」
そう言い残してぴゅーっと去っていったオオノ。
甲板には私とサクライの二人が取り残された。
私の頬を撫でていた手が耳に触れ、指でゆっくりとその形をなぞる。
反射的に肩がぴくりと跳ね、それを見たサクライがふっと笑う息遣いが聞こえた。
「そんな可愛い反応して。誘ってるつもり？」
「え！？ち、ちが…」
今日のサクライ、なんだかおかしい。
公共の場でこんなことするの嫌いなくせに、今日はなんだか積極的だ。
「A…」
静かに名前を呼ばれて顔を少しあげると、サクライの顔がすぐ近くにあった。
こんなところで！？と聞く間もなく私と彼の距離は縮まっていく。
もうどうにでもなっちゃえ____
ぎゅっと目を瞑ると、サクライと私の唇が重なる________
と思ったが、その感触はやって来ない。
あ、ありゃ？
そう思って薄く目を開くと、意地悪そうに唇で弧を描いたサクライが目に映った。
「くくっ」
ハメられた____そう気づいた途端、全ての血が上昇してきたようにかあっと顔が熱くなる。
「はははっ」
珍しく声をあげて笑うサクライは止まった私を起動させるようにおでこを軽く小突いた。
「さ、サクライ！」
「悪い。あまりにも期待した目で見てくるからついいじめたくなって…」
サクライにS気質があったなんて…！
金魚のように口をパクパクさせる私にサクライは耳許でそっと言った。
「続きはまた今度してやるから」
そして何事もなかったかのように船内へ戻っていく。
ずるい。私を弄ぶだけ弄んどいて、あんなに飄々として帰るなんて。どんな顔して中に戻ればいいんだよ…。
一人で悶々とする私をはやすように潮風が吹いていた。
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黄昏水晶 - もえさん：ありがとうございます！率直にそう言ってもらえると嬉しいです。 (2015年8月2日 12時) (
レス) id: b5cdbd3ae8 (このIDを非表示/違反報告)
もえ - うぉぉぉぉぉ！！！！！面白いーw (2015年8月1日 2時) (レス) id: f4a5ca3939 (このIDを非表示/違反報告)
黄昏水晶 - 杏仁どーふさん:ありがとうございます。これからも応援よろしくお願いします。 (2015年4月1日 16時) (レス) id: b5cdbd3ae8 (このIDを非表示/違反報告)
杏仁どーふ(プロフ) - 続編おめでとうございます(*^^*)応援してます♪ (2015年3月30日 22時) (レス) id: e8420b0568 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：黄昏水晶 | 作成日時：2015年3月27日 11時
