卑怯なタイミング ページ22
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青い空。
灼熱の太陽。
エメラルドのように澄んだ海。
飛び上がる白い水飛沫。
髪をなびかせる潮風は私を歓迎してくれているよう。
これぞまさしく＿＿＿「夏だねー、Aちゃん！」
「そう！夏だね＿＿＿＿って」
声がした方を見ると、さっきまで一人だったはずの甲板にサングラスをかけたオオノがいた。
「なーんだ」
「もしかして翔ちゃんかと思ったの？」
オオノがくくっと笑う。
「なっ...！」
...狼狽えたのは図星だったから。
「さっきフラれてたもんねー」
「ふっ、フラれてないし！」
数十分前に離島へ向かう連絡船に乗り、サクライに甲板に出ようと提案したら暑いから嫌だと断られた。
何度か腕を引っ張ったがびくともしないので、拗ねて一人で出てきたという訳だ。
「まあまあ、デートを断られた時の気持ちは判るって！」
人のことだと思って言いたい放題言って...。
隣で愉快そうに笑うオオノを海に突き落としてやろうかと一瞬本気で思った。
「なんにも知らないくせに。オオノのばかあぁぁ！」
叫んだ拍子に麦わら帽子が風にあおられてふわっと浮いた。
あっと思ったときはすでに遅く、帽子は宙を舞っていた。
白いリボンが蝶のようにひらひらと風と戯れる。
あ、落ちる＿＿＿そう思った時だった。
私たちを嘲笑うかのように華麗に空中を舞っていた帽子を、いとも容易くつかむ手。
「気をつけろよ」
＿＿＿卑怯だ。タイミングが良すぎる。
だから私は一瞬たりとも嫌いになれない。
「なによ！暑さなんかに負けるヘタレのくせに！」
風を切る音に負けないようにサクライに向かって叫ぶ。
「誰がヘタレだ」
「なにしにきたの、今さら」
そばに来たサクライが私の頭に麦わら帽子をぐりぐりと押し付ける。
「ちょ、やめてよっ」
「お前が不貞腐れてるだろうから来てやったんだろ」
麦わら帽子を押し上げてサクライを窺うと、横を向いた顔はほんのり赤くなっていた。
「やっぱり私に会いたくなったんでしょ！」
サクライをからかうと「お前のほうこそ寂しかったくせに」と反撃された。
「べ、別に私は一人でも＿＿＿」
「さっき翔ちゃんにフラれて拗ねてたよ！」
余計なことを言うオオノのすねを蹴ると「いでっ！」悲惨な声をあげた。
「へー、拗ねてたんだ」
いつもはぶっきらぼうな口調が柔らかくなり、口許には微笑が浮かんでいる。
......私を意地悪に弄ぶスイッチが入った時のサイン。
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黄昏水晶 - もえさん：ありがとうございます！率直にそう言ってもらえると嬉しいです。 (2015年8月2日 12時) (
レス) id: b5cdbd3ae8 (このIDを非表示/違反報告)
もえ - うぉぉぉぉぉ！！！！！面白いーw (2015年8月1日 2時) (レス) id: f4a5ca3939 (このIDを非表示/違反報告)
黄昏水晶 - 杏仁どーふさん:ありがとうございます。これからも応援よろしくお願いします。 (2015年4月1日 16時) (レス) id: b5cdbd3ae8 (このIDを非表示/違反報告)
杏仁どーふ(プロフ) - 続編おめでとうございます(*^^*)応援してます♪ (2015年3月30日 22時) (レス) id: e8420b0568 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：黄昏水晶 | 作成日時：2015年3月27日 11時
