彼女の髪 ＿＿＿櫻井翔 ページ17
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ダイニングの蛍光灯を消し、既に明かりの消えたリビングにそっと入る。
時刻は九時十三分。だいの大人が寝るにはとても早すぎるし、高校生が寝るにしても早い時間帯。
小学生だってまだ起きているだろう。
＿＿＿なんで俺みたいな大の大人がこんな時間に寝ないといけないんだ。
不満を抱えつつもAの隣、俺のために空けられたスペースに寝転ぶ俺は、彼女に甘い。
Aの顔はこちらに向いている。
相変わらず寝息ひとつ立てない。
これだと生きているのか死んでいるのか判らないのでたまに不安になる。
が、ごくたまに彼女の足が俺を蹴ったり、手がTシャツを引っ張るので生存は確認できる。
こいつと寝るのも楽じゃないのだ。
眠れないので片肘をついてAの顔を眺める。
ぱっと見ただけでは判らないが、よく見ると松原の面影がある。
生意気そうにつんと尖った小さな唇や、たまご形の輪郭なんてそっくりだ。
それを本人に言うと恐らく「そんなわけないでしょ！半分しか血が繋がってないんだから」と怒るか拗ねるだろう。
すると開け放した窓から風が吹き、Aの髪を揺らした。
長い髪が彼女の顔にかかる。
それを耳にかけてやると、くすぐったそうに首を縮めた。
スイミングをしていたせいか、傷んで少し茶色くなったAの髪の毛は、光を反射してますます茶色く見える。
この光は月明かりか、それとも外の街灯か。
いずれにしろ俺はこいつの髪が好きらしい。
Aが俺のところにかまってもらいに来たときは、いつも無意識のうちに髪を弄んでしまっているのだ。
俺が遊び呆けていた頃に会った女とは似ても似つかない。
彼女らは金髪や茶髪に染められた髪をこれでもかというくらいに巻き、熱を加えすぎた髪の毛は傷んでぱさついていた。
そんな奴らと遊んでいた俺も同じくらい愚かだが＿＿＿
過去の苦い思い出を掘り起こしていると、Tシャツがくっと引っ張られた。
Aは寝ている。
今日は蹴られなくてよかった＿＿と思ったのも束の間。
「...さくらい」
Aが掠れた声で俺を呼び、額を俺の胸に押し当てる。
「起きてんのか？」
返事はない。
Aが触れている部分がどんどん熱を帯びてくる。
もし彼女が起きていれば、尋常じゃない心拍が聞こえているだろう。
＿＿＿ま、たまには俺が振り回されたっていいか。
そう思い、空いた片手でAの頭をゆっくりと引き寄せた。
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黄昏水晶 - もえさん：ありがとうございます！率直にそう言ってもらえると嬉しいです。 (2015年8月2日 12時) (
レス) id: b5cdbd3ae8 (このIDを非表示/違反報告)
もえ - うぉぉぉぉぉ！！！！！面白いーw (2015年8月1日 2時) (レス) id: f4a5ca3939 (このIDを非表示/違反報告)
黄昏水晶 - 杏仁どーふさん:ありがとうございます。これからも応援よろしくお願いします。 (2015年4月1日 16時) (レス) id: b5cdbd3ae8 (このIDを非表示/違反報告)
杏仁どーふ(プロフ) - 続編おめでとうございます(*^^*)応援してます♪ (2015年3月30日 22時) (レス) id: e8420b0568 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：黄昏水晶 | 作成日時：2015年3月27日 11時
