07: 胸に秘めた感情 ページ7
「オメェ、すげぇじゃねぇか!!オラ、驚いたぞ」
「…」
苦しげに息を吐いてるうちに、悟空がそばに来ていた。
その時、私の胸に何か黒い物が沸き上がってきた。
「ん?どうした、A…うぐっ!?」
「…えっ?」
私は、自分がやった事が理解出来なかった。
見ると、私の拳が悟空に打ち込まれていた。
私の目の前で崩れ落ちる悟空。気を失ったようだ。
「嘘…私、何て事を…」
手が震えて止まらない。
自分の意志とは裏腹に、体が勝手に動く。恐い。力が強くなっているみたいだった。
(自分じゃ抑えられない…!!)
「あらあら…こんなに震えて、大丈夫ですか?」
呆然とする私の肩に、フリーザ様が手を置いた。
耳に唇の感触が掠めて、フリーザ様は囁いた。
「ありがとうございます。お陰で邪魔者が大人しくなりました」
「じゃ、邪魔者って…悟空の事…?」
「それ以外に誰がいるんです?彼は私が最も憎む相手ですよ。これで心置きなく戦えますよ」
それだけ告げると、フリーザ様は残った刺客達を次々と殺していった。
もう、ワケが分からなくなってしまった。
自分の体が、自分じゃないような―――そんな気分だった。
(私、どうして悟空を…)
「憎かったから…?」
不意に、そんな言葉が口から零れた。
憎い?悟空が?
それは、自分の中にいる、もう一人の自分が語り掛けてくるようだった。
「悟空さえいなければ、フリーザ様は死ぬ事も無かった。地獄に落ちる事もなかった。
全ては悟空がいたから。恨むべき敵は、悟空ただ一人…」
その声は、耳を塞いでも聞こえてくる。
それはきっと、私の中で眠っていた感情。
(そうだ…悟空がいなければ、力の大会が開かれる事も、フリーザ様が人殺しをする事も
無かったんだ。全部、全部全部全部、悟空のせい…)
「おっと。いけませんねぇ…彼を殺すのは私ですよ?」
フリーザ様に手首を掴まれて、私は目を見開いた。
私、今何をしようとした…?悟空を殺そうと…?
「しかし、素晴らしい力ですね。ますます、あなたが欲しくなりました」
「えっ?」
首を傾げる私の髪を、フリーザ様の手が掬い上げた。
「可憐なだけでなく、とてつもないパワーを持っている…すっかり気に入ってしまいましたよ。
部下にするよりも―――」
フリーザ様の顔が、くっつきそうなくらい近くに目の前に迫る。
「私の妻にしたいですね…」
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ショコラ - 続きが見たいです!最高です!頑張ってください! (2019年3月25日 16時) (レス) id: 42e634d4fe (このIDを非表示/違反報告)
ラム - この小説、数え切れないほど見てるけど飽きないなう。 (2018年7月29日 1時) (レス) id: fc46052f13 (このIDを非表示/違反報告)
ふが猫 - 続き、楽しみにしていマス!頑張って下さい^ ^ (2018年1月11日 19時) (レス) id: 28390f522d (このIDを非表示/違反報告)
蒼生隻(プロフ) - すごくキュンキュンしました!更新待ってます! (2017年12月25日 21時) (レス) id: 9ab991b36a (このIDを非表示/違反報告)
タナトフィリア - 面白かったです!これを読んでから、フリーザが好きになりました!応援してます!更新、待ってます! (2017年12月10日 20時) (レス) id: 3f49c62afd (このIDを非表示/違反報告)
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