【ヒロアカ】ドラゴンな女子高生 3 (ページ11)

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第101話個性、魅せるページ11

集中。
目を瞑ると、胸の奥から力が湧く感覚。
そこを源に、身体中に流れる。

五感が鋭くなり、大きな力を感じる。
視界を解放すると、世界はクリアに広がった。

『はぁっ！』

無個性だった時と同じ動作で、蹴りを繰り出す。
動きは全く同じなのに、パワーもスピードも圧倒的に違う。もはや風圧すら生じていた。

(彼女は、これほどの力を…)

これはオールフォーワンも欲するはずだと、純正に感じたギャングオルカ。

右ストレート。回転蹴り。
一通りの体術を繰り出すA。

＿＿だが、この力はこれだけじゃない。

(次……)

身体が温まってきた所で、力の表徴を具現化する。

艶のある髪の隙間から角。
尖っていく犬歯。
コスチュームの穴から浮き出る双翼。
手足の皮膚から現れる鱗。
尾てい骨の延長から生える尻尾。

色は統一され、鮮やかも渋さもない蒼碧色。

人間とドラゴンが一体化した姿。

「これが…」

公安委員会のスーツの男達は、噂に聞いた通りの姿に無意識な感嘆の声を上げた。

思い通りの発現が完了したことを感じ、Aは軽く飛翔した。翼を自在に使い、全身でバランスをとる動作にぎこちなさは全く無い。

『最後、いきます』

ある程度飛んで十分に見せた所で、地上に着地する。
原点(オリジン)を思い出す前までは、自分の意思で見せた事がない姿。だが、今の彼女なら……

Aの身体が、巨大化し異形の姿となる。
伸縮自在のコスチュームが合わせて伸びていく。
二足歩行から四足歩行へ。

その様子を、ギャングオルカや公安委員会の人だけでなく、受講生達も注目していた。

そして＿＿＿

『グオォォォ』

最後の仕上げと言わんばかりの、咆哮だった。

＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿

「なぁ！見ろよあのドラゴン！！」

年相応の顔をした男の子が、ある方向を指さして叫んだ。氷の造形的な遊具で遊んでいた小学生達と高校生4人がその方を見ると…

「かっこいい！！」

「初めて見た！ドラゴン！」

「すっげえぇぇ！！」

滑り台に夢中だった子供達が一斉に向かう。

「オイ、あれ」

「…ああ」

ひと目でわかる。龍堂だ。
あそこまで個性を発現させた彼女の姿を見るのは、爆豪にとっては初めてで、轟は2回目だがこんなにしっかりと見れる機会はなかった。

小学生達の興味が一気にかっさられた。
だが子供と戯れるドラゴンは、とても優しい目をしていたのは間違いなかった。