遅刻ギリギリ 1 ページ21
そろそろ日差しが強くなり気温も高くなってきたからクローゼットにプルオーバーを閉まった。また秋になったらお世話になろう。でもこれを着ている間はカップルがペアルックをしているかのような気分に浸れてドキドキするのだ。他人にカップルみたいと言われると恥ずかしいが。
昨日の夜から両親は仕事でいない。一人きりの家で鼻歌を歌いながら制服を着てゆっくり優雅な朝の支度をしていると時計が目に入った。
8時……遅刻確定じゃん！
焦ってローファーを履いて家を出た。鍵をかけるのに手こずってイライラしながらも施錠に成功し出発する。
龍海学園にも一応ちゃんと上限の欠席日数が定められている。また遅刻を何回かすると1日休んだことになってしまうのだ。私は年度の最初に配られる単位表と時間割を照らし合わせてどれくらいサボれるかを毎年しっかり計算してギリギリの出席日数で進級しているのだ。
今日のは完全に想定外だった。目覚まし時計も電池切れでいつもお母さんに起こされるのに慣れているからだろう。
最後の悪足掻きで
｢こんなの……はぁ……計算外……ぜぇ……はぁ……｣
と息切れしながら必死にダッシュした。
しばらく学校に向かって走っていると2台のバイクが私の前に回り込んできた。普通なら怖がるところだが焦りが恐怖を苛立ちに変えた。
｢邪魔なんだけど！遅刻する！どいて！｣
するとヘルメットを上げて顔を出したのは小橋と岩井だった。
｢Aちゃんじゃ〜ん。遅刻しそうなの？乗せてあげようか？｣
｢ヘルメットここにあるよ〜。｣
からかうように言われた。朝からイラッとくる2人だが背に腹はかえられない。
｢お願い……します。｣
ヘルメットを被って岩井の後ろに乗った。あれ、バイクって後ろの人どうやってバランスとんの？
｢しっかり俺に抱きついとかなきゃダメだよ？｣
ゲラゲラ笑いながら岩井に言われた。なんかそんなの恋人みたいじゃん！と思い嫌だったが転落して大惨事になるよりはマシだ。
｢分かりましたよ……誰にも言わないでよ？｣
まるで恋人に抱きつくかのようにゆっくり岩井に抱きついた。遼くんに絶対見られたくない光景だ……
大きなエンジン音を出して2人のバイクが出発した。
とにかく無心になりたくて目を瞑った。もう遼くんだと思うようにしよう。いや、遼くんはバイクとかじゃなくて車派かな……そんなどうでもいい思案が頭を駆け巡っていた。
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さくら(プロフ) - つばきさん» 楽しんでくださりありがとうございます！続編も頑張ります！ (2021年7月23日 19時) (
レス) id: dc5c90e8bc (このIDを非表示/違反報告)
つばき - 何回も読み返しちゃうくらい物語に引き込まれてます！更新楽しみにしてます！ (2021年7月23日 0時) (レス) id: 17816f94ca (このIDを非表示/違反報告)
さくら(プロフ) - まっちゃさん» コメントありがとうございます！楽しみにしていただけますと幸いです！ (2021年6月15日 22時) (レス) id: dc5c90e8bc (このIDを非表示/違反報告)
まっちゃ - すごく面白いです！更新待っています (2021年6月15日 21時) (レス) id: bd6a8b3525 (このIDを非表示/違反報告)
さくら(プロフ) - ゆずなさん» コメントありがとうございます。リクエスト告白、裏系以外受け付けております！ (2021年6月10日 15時) (レス) id: dc5c90e8bc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：さくら | 作成日時：2021年5月25日 11時
