008 ページ9
彼は譫言を呟いている間も、私の首から杖を外さない。
離してと言う余裕もなく、うー…と呻き声を上げるしか出来ない。杖と首の間に指で隙間を作るが、全く無意味だ。
「こら坂田。小鳥ちゃん死んじゃうで」
彼の頭をコン、と軽く叩く金髪の男。
紳士で、吐きそうなくらいの作り笑顔。私から赤髪の男を引き剥がし、ふわりと笑いかける。
「大丈夫やった?ごめんな、うちのあほが」
「けほ…っ、は…」
「あらら、だいぶ絞められてたからむせちゃうな」
しゃがみこんで呼吸を整える私に目線を合わせ、優しく、テンポ良く背中を叩く彼。
「よしよし」
呼吸が整うと、頭を撫でて落ち着かせてくれる。
嘘の優しさなんて、言わなくても分かることだけれど。
私はそんな汚れた優しさに吐き気を覚え、頭に乗せられた手を払う。
払った瞬間、彼の声色が一変する。
「…折角優しくしてんのに」
私はびくりと肩を揺らした。
先程とは比べ物にならないドスの効いた低い声。背中に何か、ぞわりとしたものが走る。
「優しくする必要ないんちゃう?俺は厳しく調教したいわぁ…」
聞くだけでも寒気のする台詞を吐くのは、紫髪の男。
「いいな…それ…」
その光景を思い浮かべたのか、恍惚とした表情になるのは、茶髪の男。
「やだ。僕のにする。完成させるための重要なピース。」
二人の意見に反対し、機械的に喋るのは赤髪の男。
「お前らほんま考えることが怖いわ…」
怖い、と言いながらも、三人のことを言えないだろうと言ってやりたくなる。この男が金髪。
私は、金髪の男が一番苦手だ。
742人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「歌い手」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ちょこ - 終わってます!戻ってきてください!続き楽しみに待ってます! (2020年12月25日 22時) (レス) id: 5ad0b4ef6a (このIDを非表示/違反報告)
扇@crew(プロフ) - さえたぬさん» はい!坂田家の友達と二人で参戦しました! (2019年8月24日 7時) (レス) id: 7b253820d2 (このIDを非表示/違反報告)
さえたぬ(プロフ) - こんばんは!夜分遅くに失礼します。いつも読んでて応援してます!突然、全然関係ない話で申し訳ないのですが、仙台公演参戦してたんですか!? (2019年8月24日 1時) (レス) id: ef6e3a5fb3 (このIDを非表示/違反報告)
扇@crew(プロフ) - 月夜さん» コメントありがとうございます!これからもいろんな曲の要素を入れていく予定です (2019年8月22日 22時) (レス) id: 7b253820d2 (このIDを非表示/違反報告)
月夜 - 凄く読んでいて楽しかったです^^ ポーカーフェイクやBeetle Battleの要素も入っていて。応援しています(*´∀`) 更新、頑張ってください^^ (2019年8月22日 21時) (レス) id: fafc33f615 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:扇@crew | 作成日時:2019年8月19日 22時