顔が良すぎるヴィラン第二章【ヒロアカ】 (ページ10)

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笑うために生きているページ10

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正しくありたいと思っていた。
人を救うヒーローでなくても、優しい人でありたかった。

けど、その思いを握りつぶしたのは紛れもない兄さんだったんだ。

____どうして、Aはヒーローを目指さないんだ

喧嘩をしていた。私たちはそこまで喧嘩をしないから、あの時が一番激しい喧嘩だったと思う。

兄は羨望を目に宿らせて言った。

お母さんにならないでって言われたんだよ、とは言わなかった。きっと言ったって兄さんは信じなかったから。

『太陽は朽ちた。象徴はもういない、正義はいずれ瓦解する。そのときにヒーローという像は揺れるだろうね。隠して来たものは全て曝け出される。

そのときが、全ての終わりだよ。

忘れさせないから。助けてくれなかったこと、絶対』

真っ直ぐかっくんを見据えた。君がもしヒーローだったのなら、私は君の隣に立っていたよ。

心を代弁するように頬にいくつもの水滴が伝った。私はもう泣かない。笑うために生きているから。

「A」

『じゃあね、かっくん。兄さんに言っておいて、次は絶対殺すからって』

割れた花瓶を蹴り飛ばして、水溜りを踏み荒らして走った。

雨は好きだった、その後の青空が綺麗に見えたから。

好きだったんだんだよ。きらきら輝くヒーローは、かっこよかった。人を救うあなたたちは、綺麗だったから。

『…バカだね、緑谷A』

いつか、その時が来たら、
今度こそあなたを殺してあげるからね

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