顔が良すぎるヴィラン第二章【ヒロアカ】 (ページ7)

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ヒーローにならないで。ページ7

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お兄ちゃんだから譲りなさい。

そんな呪いの言葉が、妹にもかけられることを、
知っているだろうか。

兄さんが無個性だからということだけで、
私から色んなものを取り上げていったお母さん。

いや、私から色んなものを取り上げたのは兄さんだったかもしれない。

お母さんからの関心も、愛情も、何もかも、
無個性だから、で片付けられる日々。

____出久のためにも、あなたはヒーローにはならないで。お願い

四歳のときの記憶だけど、あまりにも残酷な言葉だったからよく覚えている。

ヒーローになんか憧れてなかったけど、
お母さんの中で、私は兄よりも下だと言うことを伝えられたのだ。

「あ、Aちゃん！どこ行ってたの？早く帰りましょう、ヒーローに捕まっちゃいます」

『ごめんね。ちょっと会いたい人がいてさ』

ヒミコちゃんに手を引かれ、誰もいない路地を歩く。
仁くんはいつものマスクが無いのか一人で何かぶつぶつ呟いていた。

「ごめん、ごめんなァ…俺のせいで、ごめんなAちゃん」

『大丈夫だよ、仁くん。悪いのはいつだってヒーローだ、仁くんは何も悪くない』

「そうだよ、仁くん。大丈夫です」

私の中のヒーローという人物がひび割れ、壊れていく。
ヒーローは助けてくれない。

なら自分で救いを見つけるしかないんだ。

期待した分、裏切られたときの絶望は大きい。だからもう期待するのはやめた。

安心してね、お母さん。
ヒーローになんか死んでもならないからさ。

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