顔が良すぎるヴィラン第二章【ヒロアカ】 (ページ3)

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ちっぽけな世界で己を示すページ3

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引き攣った息。大きな目が溶けそうなほど溢れる涙。持っていたお菓子の袋を机に置き、ゆっくりと彼女に近づいた。

『壊理ちゃん』

「…A、さん、」

『うん、私だよ。』

より一層目に涙を溜めて静かに泣く壊理ちゃん。ベットの傍に座っても縋ろうとはしてこない。この子は一人で泣くことに慣れている。

ヒーロー志望とか、一般人とかが泣いてても何にも思わないけど。

似ている。何にも縋れずただ静かに受け入れ、笑うしかなかった過去の私。そのほうが楽だった。一々傷つくと心が持たなくなる。

『…こんなときでも、ヒーローは助けてくれないんだね』

ころりと壊理ちゃんの隣に寝転がった。手繰り寄せ、母親のように抱きしめる。

「Aさん、」

『みんな、死ねばいいのにね』

救いのヒーローという虚像。現実は残酷で、きらきら輝く夢物語ではなく灰色の世界。

理想を享受できるのはほんの一部の人間だけで、それ以外の人間にはそれとよく似たものを与えられる。何もかも平等ではない。不平等だからこそ、この世の中は成り立つ。

ぐらりと揺らぐ秤。一度揺れれば、何を乗せても水平にはもう戻らない。

『私が壊理ちゃんのヒーローになるよ。君を逃して、あいつを殺す』

偽善か、気まぐれか。どちらにせよ良いものではないのは確かだ。でも救われないよりかは、きっといいだろう。

ちっぽけな世界で、私はもがき続ける。私という存在を、証明してやる。

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