Why？

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『…ううっ…そういうことやったんか…』



スパークリングワインが二本無くなるのとあたしの話が終わるのは同時だった。
そして、なぜか分からないけど泣いている桐山さん。



「え、何で泣いてますか」


『やってー…あんまりやんかぁ…っ』


「酔ってます？」


『酔ってっ…ﾋｸｯ…なんかないわっ』



酔ってんじゃんどう見ても。
意外と泣き上戸な感じか……怒るのよりマシだけどなかなか泣くのもきつい。



『俺やったらぁ、ぜーったいそんな思いさせんのにぃ…っ…ﾋｸｯ』



最初は、皆そう言うよ。
届かないからそう思えるだけで、届いてしまえば簡単に手放すんだ。



ジリジリと目を赤くさせた桐山さんがにじりよってくる。
ソファーに二人で座ってれば距離がすぐ縮まるのは目前。



「…どうしましたか」


『いっつもそれでぇ、しんどないの？』


「はい？」


『仮面着けてさぁ。自分の思ってることなーんも言わんとただただ受け入れんの、辛いやろぉ…？』



仮面、か。
芸能人なんて全員そうじゃないのかな。
着けてる仮面の表情が違うだけで、心の底で何思ってるかなんて誰一人分からない。
あたしはたまたま、無表情の仮面なだけ。



「もう慣れたんですよ」



悲しそうな目をするのは何で。
そんな哀れまれるような生き方はしてないはずなのに。

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