【歌い手】空白のページを君と僕で Ver.B【超大型企画】 (ページ12)

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雪さんに見送られるようにして、屋敷の1番奥になる彼女の部屋の前にたどり着いた。
得体も知れない緊張が、俺を襲ってくる。

　
「ここまで来たら、やるしかねぇだろ…！！」

ガチャリ、彼女の部屋につながるドアを開ければそこは
俺が最後に見た時とすべてが変わっていた。
薄緑に統一されているその部屋は白い家具で統一されていて。
本当に、おとぎ話に出てくるようなそんな部屋だった。

「…あれから何年経ったんだっけ。」

周囲の気配を探りながら、彼女を探す。
幼いころの、約束を。捕まったお姫様を助けに行かないと。
部屋をくまなく探していれば、ほどなくして天蓋付きの大きなベットを見つけた。
そこですやすやと眠っている彼女は、美しく成長していて。
ただ、どこか残っていた幼さが俺の記憶の中のAを思い出させていた。

　
　
「いたいた……ったく、ぐっすり眠ってんなぁ。」

人の気も知らないで…なんて、思わず苦笑がこぼれたが。
そもそもAは今日俺がここに忍び込むことも。
これから俺が何をしようと思っているかも、知らないのだから仕方ない。

彼女を閉じ込めているこの茨の城から、開放してやらねぇと。

「まずは、脱出経路からか。」

まぁ、そこは一緒に来た仲間たちがうまいことしてくれているだろう。
今俺がやるのは、このお姫様を起こしてハッピーエンドに導くこと。
それならば、ちょっとだけ王子様らしく……

俺だけのプリンセスに、口づけを。

　

「……おはよう、お姫様？」

「んぅ……？」

寝ぼけているのか、2.3回ほど目をぱちぱちとさせたAは俺の顔を見て驚きの表情を浮かべた。
どうやら、俺がどうやって起こしたのか、についてはまだ理解していないようだが。

　

「まさか……うらた…なんで……？」
　

「茨にとらわれたお姫様を助けに来たんだろ。」

「…かっこつけちゃって。」

「うるせ、早く逃げんぞ。」

「……うん！！」

　

彼女を横抱きにして、この部屋を後にする。
さぁ、これからどうなるかわからないけどとりあえず目的は果たせた。

やっぱり、お姫様を救うお話はこう(ハッピーエンド)じゃないと。

　
　

　
『もう、離さねぇから。』