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*



『鏡よ鏡。この世で一番美しいのはだあれ?』



階段の先に広がっていたのは、最低限の明かりの灯された部屋…というよりは、広間。

そして、殺風景なそこにぽつんと置かれた、大きな鏡。その前に立つ女性。
お母さま、だ。なんでここに…?

鏡の銀色の光が眩しい、異様なこの光景に、私は立ち尽くすことしかできなかった。

やがて、お母さまの問いに答える声がした。



『女王さま、ここではあなたが一番美しい。…けれども、』



その途端、背中をぞわりと冷たい空気が撫でる。



『…白雪姫は、千倍も美しい』



なに、なんなのあの鏡は。

鏡が喋っていること、そして目に見えぬお母さまから漂う熱い炎のような怒りに、今度こそ明らかな恐怖心が湧き上がった。

いつも静かで、お淑やかなお母さまは、声を荒ぶらせてもうよい!と鏡に布を被せてしまった。
すると、部屋から鏡の明かりが失われ、ランタンの小さな明かりのみとなってしまう。



「……白雪姫を…あの子を、殺してしまいさえすれば…わたくしが、わたくしが…」



お母さまの小さな呟きが怖くて、怖くて、弾かれたように階段を駆け上った。

やだ…やだ、なんでわたしが。あんなにお母さまは優しくしてくれたのに、なんで。



「…っ、さかたさまぁ…!」



城の中をあてもなく、何度もドレスに躓きそうになりながらも走り続ける。

やっと見えた外は、とうに夕食の時間なんて過ぎているだろう。まんまるな月が浮かんでいた。

殺される、お母さまに。…いや、女王さまに。
坂田さま、どこですか、助けて、お願い。

坂田さまの顔を思い浮かべると、我慢していた糸がぷつりと簡単に切れてしまって、涙が溢れてきた。
夜風が涙を冷やして、体温が奪われていく。

廊下にへたりこんだ、その時。



「……みつけた」



振り向くと、あの日と同じルビィの瞳と視線がぶつかった。

*→←【となりの坂田。】灰色林檎。/sera



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関西風しらすぅ@坂田家 - 坂田さんの絵本描いてる設定とかリアリティありすぎて好きです。幼いセンラさん天使すぎな。 (2019年6月16日 11時) (レス) id: f34e486c2f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:作者一同 | 作者ホームページ:***  
作成日時:2019年5月3日 1時

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