写真 ページ47
.
「あの、翔太くん？向井くんが二人の写真が撮りたいって……」
渡辺「ん？」
賑やかな楽屋で、遠慮がちにAが声をかけてくる。
康二の方を見ると、確かに自分のカバンを漁ってカメラのレンズを取り出していた。
「あの、……私、写真は……」
高校の時のことがあったからだろう。
Aにとっては思い出したくもない記憶しかないはず。
俺との写真はAにとっては幸せなものじゃない。
不安げなその顔を。
逃げた過去を。
なかったことには出来ないけど。
渡辺「俺、次は絶対……守るから。」
「え？」
渡辺「守るって、口だけじゃなくてさ。ほんとにちゃんと、ずっと一緒に居たいって思ってるから。」
「っ！」
渡辺「だから今度はちゃんと撮ろうぜ。」
Aの手を取り、康二の前に二人で並ぶ。
ラウ「あっ！ふたりで恋人繋ぎしてるー！！」
目黒「見せつけるねぇ……」
深澤「ま、翔太が幸せそうだからいいんじゃない？わら」
冷やかしの声に恥ずかしくなるけど。
「翔太くん、耳が赤い…」
渡辺「ちょ、こっち見んな！恥ずいから！」
「ふふっ」
理不尽な俺の返答に、Aが可笑しそうに笑う。
恋人繋ぎを人前でなんて、マジでキャラじゃないことしてる自覚はある。
でも、隣のAが嬉しそうだから、恥ずかしいとか、今はいいや。
向井「おっ！いいねぇ二人共、顔真っ赤！めちゃめちゃ初々しいやん！ほないくで！」
初めての恋人繋ぎの写真。
康二のシャッター音が妙によく聞こえる。
佐久間「佐久間さんも混ざっちゃおーっと！」
ラウ「ひゃひゃ！なんか楽しそうだから僕もー！」
目黒「あっ、こら佐久間くん、ラウールも！」
向井「おっ、ほなみんな混ざりぃや！」
康二の言葉につられ、最後はみんな混ざってグダグダになりながらたくさん写真を撮った。
渡辺「あー、、はず。」
「……よかったの？写真、」
渡辺「Aと、だから。」
まだまだ素直とは程遠い俺だけど。
渡辺「……好きな奴は、特別、的な？……いや、やっぱ何でもない！！」
「ふふ。……ありがとう。」
君にだけ届く声で、少しくらいは伝えていくから。
だから、
これからも。
どうしようもない僕に、恋をして。
【完】
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1203人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
たぬ(プロフ) - まいさん» 最後までお読み頂きこちらこそありがとうございます！そして素敵な感想まで…！とってもうれしいです。また是非別の作品も読んでいただける様がんばります！ (5月15日 20時) (
レス) id: dc32266bd7 (このIDを非表示/違反報告)
まい - とても読み応えがあって、一気に読み終わってしまいました…！とても面白かったです。素敵な作品をありがとうございました。 (5月14日 20時) (レス) @page48 id: 1f1c71775c (このIDを非表示/違反報告)
たぬ(プロフ) - rinaboyaさん» コメントありがとうございます！！そう言って頂けてすごくうれしいです。更新頑張りますので引き続き読んでいただけたら幸いです。 (2022年6月3日 18時) (レス) @page9 id: dc32266bd7 (このIDを非表示/違反報告)
rinaboya(プロフ) - とても見ててドキドキします！！このふたりがこれからどうなるのか楽しみです！！ (2022年6月1日 19時) (レス) @page8 id: a9150a3a31 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：たぬ | 作成日時：2022年5月30日 22時
