名前 ページ45
.
目黒「え〜？撫でるくらい良くない？」
渡辺「ダメ！絶対ダメ！Aのことに限ってはお前のこと信用してないからな！」
目黒からAを引き離してそう吠える俺。
目黒のことはまだまだ警戒中。
だって最初、Aさん可愛くないっすか？とか何とか言ってたし。あれは絶対本音。
相談に乗りつつ絶対あわよくばって思ってただろ。俺なら思うもん。
「もう、渡辺くん…」
そんな俺にちょっぴり呆れたように、嬉しそうに笑うA。
てか、ひとつ気になってたんだけど。
目黒「Aさん、まだ翔太くんのこと名字で呼んでるの？」
渡辺「それな！！」
目黒が発した疑問はまさに俺が思っていたことで、思わず同意の声が強めにこぼれる。
「え、っ」
思いがけないコトを同時に2人から言われたせいでAは驚いたように目を開く。
それですらかわいいと思うから、俺は多分もう重症だ。
目黒「ようやく付き合えたんだから、名前で呼んだらいいんじゃない？」
目黒のナイスアシストでAは少しだけ意を決したように下を向いてから、俺を見る。
「……翔太、くん？」
渡辺「〜〜っ！」
上目遣いで名前で呼ばれる如きで、こんな恥ずかしくなるって思わなくて。
思わず、その破壊力に言葉が出なくなる。
「えっ、何かダメだった……？」
渡辺「いや、ダメじゃない、けど。」
かわいすぎてダメとは、流石にここでは言えないし。
目黒「ふはっ、おもろ。」
渡辺「……おいコラ目黒。」
目黒「ははっ、昔の翔太くんだ。」
「？」
俺とAのやりとりを見て、俺の胸のうちをお見通しな目黒が腹抱えて笑ってくるので思わず嗜めるけど、多分威厳もない今は全然意味ない。
そんな俺と目黒のやりとりをさらに訳が分からないという顔で見てくるA。
渡辺「……A」
「？どうしたの？翔太くん？」
俺が声をかければ、まだ少し恥ずかしそうに俺の名前を呼んで応答してくれるA。
高校生の頃、俺が彼女の名前を呼んだ時と同じで嬉しい。
今まで、こんなに誰かを愛しいと思う感情で満たされたことはなくて。
ニヤける口元を抑える術はない。
たかが呼び名、されど。
きっとこの先も、関係性の変化に照れることもあるだろうけど。
勇気出して踏み出した一歩によって、これから先また愛しいが増すんだろうな、なんて頭の片隅で考えていた。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1203人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
たぬ(プロフ) - まいさん» 最後までお読み頂きこちらこそありがとうございます！そして素敵な感想まで…！とってもうれしいです。また是非別の作品も読んでいただける様がんばります！ (5月15日 20時) (
レス) id: dc32266bd7 (このIDを非表示/違反報告)
まい - とても読み応えがあって、一気に読み終わってしまいました…！とても面白かったです。素敵な作品をありがとうございました。 (5月14日 20時) (レス) @page48 id: 1f1c71775c (このIDを非表示/違反報告)
たぬ(プロフ) - rinaboyaさん» コメントありがとうございます！！そう言って頂けてすごくうれしいです。更新頑張りますので引き続き読んでいただけたら幸いです。 (2022年6月3日 18時) (レス) @page9 id: dc32266bd7 (このIDを非表示/違反報告)
rinaboya(プロフ) - とても見ててドキドキします！！このふたりがこれからどうなるのか楽しみです！！ (2022年6月1日 19時) (レス) @page8 id: a9150a3a31 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：たぬ | 作成日時：2022年5月30日 22時
