疑惑 ページ38
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目黒とAの影がゆっくり重なる。
スローモーションのように進む目の前の光景に、息が止まりそうになるっていうのはこういう事なんだなってこの時初めて知った。
やがて、ゆるくだけど動き出す思考は、驚きと苛立ちに支配されていて。
は？こんなとこでキスとかふざけてんの？
いや、そもそも目黒とAがなんで？
は？もしかして付き合ってんの？
あー。パニックパニック。
ちょっと待ってまじで意味わかんねーわ。
二人重なった影は数秒で離れた。
でも、俺の中の体感時間は数時間にも思えるほど長くて辛くて、ムカつく時間だった。
「ありがとうね。じゃあまた。」
目黒にそう言って微笑んで、別れて歩き始める彼女。
まじで意味わかんねー。
キスされてありがとうとか、それはもう両思いのそれでしかないだろ。
あーあー。
ほんとなんでこんなことになるんだよ。
幸か不幸か、俺がいる方へ向かって歩いてきたAとバチッと目が合う。
「っ、渡辺くん。おはよう。」
自分はさっきまで目黒とキスしていたくせに、俺を見つけて嬉しそうに笑うこいつに、俺は平常心で対応できるほど大人でもなくて。
渡辺「……っ」
「どうかしたの？」
その声は明らかに俺を心配する声色。
俺の小さい変化にも気付いてくれるこいつが、今はうっとおしい。
俺のものじゃない。
目黒のものになったのかもしれない。
確信はないけど、今目の前で起こったことが脳内にこびりついて離れない。
悔しい。
俺が携帯の送信ボタン一つも押せないせいで。
再会してほとんど話せてないのに、こんなに頭の中を支配する存在になってて。
そんなことを、何も知らないこいつが、ムカつくのに。
愛しくて、悔しい。
目黒より、ずっと前から、俺の方が先に⎯⎯⎯。
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たぬ(プロフ) - まいさん» 最後までお読み頂きこちらこそありがとうございます！そして素敵な感想まで…！とってもうれしいです。また是非別の作品も読んでいただける様がんばります！ (5月15日 20時) (
レス) id: dc32266bd7 (このIDを非表示/違反報告)
まい - とても読み応えがあって、一気に読み終わってしまいました…！とても面白かったです。素敵な作品をありがとうございました。 (5月14日 20時) (レス) @page48 id: 1f1c71775c (このIDを非表示/違反報告)
たぬ(プロフ) - rinaboyaさん» コメントありがとうございます！！そう言って頂けてすごくうれしいです。更新頑張りますので引き続き読んでいただけたら幸いです。 (2022年6月3日 18時) (レス) @page9 id: dc32266bd7 (このIDを非表示/違反報告)
rinaboya(プロフ) - とても見ててドキドキします！！このふたりがこれからどうなるのか楽しみです！！ (2022年6月1日 19時) (レス) @page8 id: a9150a3a31 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：たぬ | 作成日時：2022年5月30日 22時
